スマホを"使えなくする"スマホケース!? こどもとスマホの幸せな関係を考える

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2017年05月31日 12:00  citrus

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あなたが、朝起きて真っ先にすることは、なんだろうか。私のすることは、ここ7〜8年、毎日変わらない。まず、iPhoneをさわる。そして、Facebookを見る。LINEを確認し、寝ている間に届いたメッセージに返信する。ベッドを出るより先に、ニュースサイトで朝の出来事を確認する。乗換案内で電車を確認し、地図を開く。シャワーを浴びながら訪問先の場所を確認し、バスに飛び乗る。移動中はInstagramで友人の写真をチェックし、メッセンジャーで仕事のやりとりをする。AppleMusicで音楽を聴き、時間ができればNetflixでダウンロードした映画を見る。

大げさかもしれないけれど「スマホがなかったら生きていけない」生活だ。なかったら、まったく仕事にならない(実を言うと、今この原稿を書いているのも、iPhoneなのだ)。スマホは魔法の小箱である。我々に、知識とエンターテイメントを与え、新しい形のコミュニケーションとを生み出してくれた。けれど、人は、スマホに使われているのではない。スマホを使っている側なのだ。道具なのだから、どう使うかは自分次第。この素晴らしいツールが、巨大な外の世界に繋がっていることを知っているし、使い方次第で、自分の能力を何倍にも高めてくれることも知っている。

けれど、もし、この魔法の小箱を手にしたのが、こどもの頃だったら?と思うと、正直不安になる。スマホに使われる側の人間になっていたかもしれない。自制が効かず、オンラインの世界から抜け出せなくなっているかもしれない。


■スマホの利用を制限するスマホケース

先日、クラウドファンディングサイト・Makuakeに、OTOMOS(オトモス) という名の商品が登場した。株式会社Momoが開発した、こどもとスマホの関係を健全化するためのスマートフォンケースだ。現在のところ、iPhoneのみに対応している。ケースの内側にあるライトニングコネクタに本体を差し込み、アプリをインストールすれば、準備は完了。親のスマホから、管理アプリを経由して「OTOMOSを装着したスマホの利用制限」が出来るようになる。1日に使用できる合計時間を決めたり、使える時間帯の指定と制限もできる。

 


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大人と違って、極端に熱中しやすく、終わりの時間を決められないこどもは「友達からLINEが来たから」「もう少し遊びたいから」と、つい、スマホとの関係を優先してしまいがちだ。結果、宿題に手がつかなくなったり、睡眠不足になったり、食事や、家族との会話をおろそかにしてしまうこともあるだろう。とはいえ、何かに夢中になっているこどもから、対象物を引き離すのは難しい。親子間で「ゲームは1日2時間まで」と決めても、目の前のスマホが動き続けていたら、どうしても触ってしまう。ルールを決めたでしょ、と毎夜言い合うのも、双方にストレスが溜まるだろう。

だからこそ「この時間は使えない」と、明確に時間指定ができるOTOMOSのコンセプトは素晴らしい。親子間のルール以外に、物理的な制限がかけられるのだ。大人だって、ダイエットをがんばろう!と思いながら、目の前にスイーツがあれば、つい手が伸びてしまう。けれど、そのスイーツの箱に鍵がかかっていたら、ぐっと我慢も出来るというものだ。こうして自然と、ルールを守ること、自分を律することを覚えられるのが良い。


■こどもとスマホの幸せな関係をつくるために

こどもにスマホを使わせることについて、私は概ね、肯定派だ。今は、私の時代には考えられなかった、インタラクティブで効果的な学びのアプリが、たくさんリリースされている。論理的思考の手助けをする、素晴らしいゲームもある。語学を修得できるもの、アートに触れられるもの、こどもでも始められる楽曲制作アプリも豊富にある。未開拓なこどもの才能を伸ばすために、それらを使わない手はない。もし、視力の低下が心配ならブルーライトカットの保護ガラスシートを装着するとか、方法は色々ある。

学びを目的とするならば、最初は、自宅のWi-Fiだけで使える、親のおさがりのスマホがあれば充分。1人で移動する機会が多く、辞書や資料を使うことが増える中学生頃から、自分専用のスマホを持てば良いと思う。OTOMOSには、歩行時や、自転車の運転中に使用できないよう制限をかける機能もある。万が一、事故や異変があった際には、登録しておいた連絡先に、通知を一斉送信する。その場合は、こどもの位置情報と共に、状況が通知される仕組みになっている。見守りツールとしても優秀なのだ。

これまで、国内外の展示会で、こどもを見守るためのグッズを色々と見てきたが、全て、スマホとは別の、装置やアクセサリーとして存在していた。つまり、そのアクセサリーを忘れてしまうと意味がないのである。だから、ケースにしてしまおう!というアイデアは、かなり画期的と言える。さらに評価したいのは、デザインを諦めていないということ。機能重視の無骨な商品や、こどもにフォーカスしたあまり、ファンシーになりすぎた商品も見てきたから、「iPhoneケース」としてデザインが成立しているこの商品には、とても好感が持てた。

中学生ともなれば、自分の持ち物やファッションに、ある程度のこだわりが出てくる。「見た目がこどもっぽいツール」を持たされるなんて恥ずかしい!という子も多いだろう。私はスマホケースのコレクターで、500を超えるケースを所持しているが、いくら機能性が高くても、デザインの悪いケースをつけるのは、やっぱり嫌だ。

OTOMOSの色は(現在対応しているiPhoneのカラーに合わせた)3色展開。さらに、カバーシートで背面の着せ替えも可能。着せ替え機能を付けなくたって売れただろうに、そこまでこだわる姿勢に惚れた。ケースは「相棒に着せる洋服」のようなものだから、お気に入りの存在にならなければ、ずっと付けていたいとは思えない。このケースなら、着せ替えを楽しんだりしながら、毎日付けていられる。しかも、本体カラーに対応する4種類のカバーシートがついてくるというのだから、自然とテンションも高まろうというものだ(さらに言えば、スマホのケースは、着替えるものだという発想が素晴らしい。この開発元の方はわかっている!!私はずっと、ファッションやTPOに合わせてケース変えようと、提唱しているるのだけれど、なかなか受け入れられない……)。

さて、ここまで書いてきて、ふと思った。このケースが必要なのは、こどもだけではないのだろうと。思えば、翌日、早朝に出発しなければならないのをわかっていて、原稿依頼の連絡を受けて企画を考えだしてしまったり、読みかけの漫画を読んでしまうのは、この私だ。深夜のクリエイティブな行為を私は愛しているし、お風呂の中で映画を見るのも好きだ。でも、自分の健康の為にも、翌日の仕事のためにも、自分の"あとちょっと遊びたい、皆と話したい”という欲を律する必要があるんじゃないか……。

手に入れたら、SNSで「OTOMOSはじめました」と宣言してみるのも、悪くないのかも。
 

このニュースに関するつぶやき

  • そもそもスマホ=玩具という認識が欠如してる。子供が玩具を欲しがり永遠に遊び続けようとするのは昔からな何一つ変わらない行動原理であって それを大人になってもソレを続けてる事の方に問題があると理解できてない
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