【写真特集】ゆがんだ輝きを放つアメリカンドリーム

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2017年05月31日 17:03  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<経済格差がますます広がるアメリカでは今、アメリカンドリームは非現実的な夢に。その穴埋めとして、身の丈を超えたゆがんだセレブ的ライフスタイルが新たな文化になっている>


きらびやかな衣装に高級ホテルのプール、さらにはプライベートジェットまで。写真家で映画監督のローレン・グリーンフィールドは25年にわたり、華やかであると同時に物欲まみれの現代アメリカの姿を写真やドキュメンタリー映像に収めてきた。


被写体となるのは巨万の富を手に入れたスーパー富裕層ばかりではない。グリーンフィールドが映し出すのは豊かさを夢見て、成功を収める前から将来の富を前借りしたような生活を送る人々の姿だ。


今やアメリカ人にとって、アメリカンドリームは非現実的な「夢」。経済格差はますます拡大し、社会的な階層は固定化され、それを是正するための政治もひと握りの超富裕層の思惑に左右されるようになった。


【参考記事】なぜか再びアメリカで銀行がつぶれ始めた


そうした隙間を埋め、豊かさに憧れる人々の欲求を満たす方法として、身の丈を超えた物欲に振り回されるゆがんだセレブ的ライフスタイルが新たな文化として広がっている。


一部には、その特異なライフスタイルが注目を浴び、本物のセレブにのし上がる者もいる。だが前借りしたはかない「夢」を清算できなかった者を待つのは、冷酷な現実だ。


Photographs from "Generation Wealth" (Phaidon) ©Lauren Greenfield-Institute


*掲載作品は新刊写真集『ジェネレーション・ウェルス』(英ファイドン社刊)からの抜粋


数々の美少女コンテストで優勝してリアリティー番組のスターとなった6歳のエデン・ウッド(11年)


ロサンゼルス郡のシニア美女コンテストで優勝した72歳のジャッキー・ゴールドバーグは「ピンクレディー」の異名で知


られる(05年)


<セレブという宗教>セックステープが流出するなど私生活が注目され「有名であることで有名」な存在だったキム・カーダシアン。その後、チャンスを生かして本物のセレブに仲間入りした(09年)


<若さと美への欲求>コラーゲン注射を施す皮膚科医アーノルド・クラインは「唇の神様」とも呼ばれている。美容医療の進歩と共に、若さと美しさへの強迫観念を覚える女性も増えている(05年)


<ベルサイユの女王>ジャッキー・シーゲルはリゾート運営会社で成功した夫とアメリカ最大の豪邸の建設に着手したが、リーマン・ショックで一気に転落。2人を追ったグリーンフィールドの監督作『クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落』は話題を呼んだ(09年)


<早過ぎる転落>ビバリーヒルズの高級ホテルのプールでまどろむ10歳のエミリー。家族でプレジデンシャルスイートに長期滞在していたが、不動産業で成功した父はその後、詐欺罪で有罪になった(93年)


<我買う、故に我あり>経済的に恵まれない若者へのチャリティーを募るためビバリーヒルズの邸宅で毎年行われる「バッグ・ランチ」。多くの女性が高級ブランドのバッグを物色する(14年)


<札束をばらまけ>アトランタのクラブで客がばらまいた紙幣を拾い集めるストリッパー。ナイトクラブやカジノで享楽的な時間を過ごすことも現代アメリカでは1つの富の象徴だ(15年)


撮影:ローレン・グリーンフィールド


ドキュメンタリー写真家で映画監督。米ハーバード大卒業後、富と消費主義、若者文化、アメリカン・ドリーム、ジェンダーなどをテーマに作品を制作している。2015年、テレビ・コマーシャルでエミー賞受賞。本作は新刊写真集『ジェネレーション・ウェルス』(英ファイドン社刊)からの抜粋


[2017年5月23日号掲載]



Photographs by Lauren Greenfield


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  • おいおい先週号が先々週号だったかに紙の雑誌に写真メインの記事として載せたのを文字だけアップされても… インパクトが消滅しているぞ
    • イイネ!1
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