8割以上が「気まずい思い」。お尻の症状話しにくい…若い世代の発症が多い難病「クローン病」とは?

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2017年06月01日 18:02  QLife(キューライフ)

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患者の多くが「外食」「旅行」がやりたくてもできない


東邦大学医療センター佐倉病院 消化器内科 教授 鈴木康夫先生

 下痢や血便、腹痛などの症状を伴う「炎症性腸疾患」のひとつ、クローン病。口から肛門まで、消化管のいたるところに慢性的な炎症を生じ、腹痛や下痢などの症状が現れます。重症化すると手術が必要になることも。日本では難病に指定されており、残念ながら完治させる治療はありません。クローン病の治療薬を製造販売しているヤンセンファーマ株式会社は、クローン病患者を対象とした調査を実施。5月29日の「世界消化器健康デー」に合わせてその結果を公表しました。

 調査の対象となったのは、16〜44歳のクローン病患者143名。20歳未満でクローン病と診断された患者は51名いました。そのうち、「クローン病について気まずい思いをしていますか?」の質問に対して、「はい」と回答したのは84.6%に上り、20歳以上になってから診断された患者の52.2%に比べると、大きな差がつきました。若い世代のクローン病患者ほど、病気が周囲との関係に影響を与えていることがうかがえます。また、「クローン病の症状のためにやりたくでもできないことは?」の質問では、「外食」「旅行」が最も多く、外出先でのお腹の症状を心配する患者の多さが浮き彫りに。20歳未満の患者では、「社交イベントへの参加」「スポーツ活動への参加」「就学/就業」と続き、日常生活の様々な場面で困難に直面していることが明らかになりました。

 同日開催されたメディアセミナーで登壇した、東邦大学医療センター佐倉病院消化器内科教授の鈴木康夫先生は、「クローン病は10〜20代で発症する患者が多い病気。この年代はナイーブな時期です。下痢やお尻のことを他人に話すのをためらって、辛さを我慢している患者さんも多い」と語ります。

外見からは病気だとはわからない。だからこそ、理解が得られない

 トークセッションに参加した、クローン病患者でシナリオライターの名良之繭子さんは、高校生の頃から食事のたびにお腹の痛みや下痢の症状があったそう。しかし、友達や家族に心配をかけたくないとの思いから、我慢を重ねてきたといいます。ようやく診断がついたのは、成人し、働き始めてから。「完治しない難病ではありますが、気になっていたいろいろな症状の全てに対応する治療が受けられるようになり、安心した」とのこと。診断がつく前は、病院を受診しても、ストレスによる胃の痛みや過敏性腸症候群など、その時症状が出ている部分に対して病名がつくのみで、有効な治療を受けられず、辛い日々が続いたといいます。

 クローン病患者は年々増え続けており、日本での患者数は現在、およそ4万人とされています。完治させられる治療法はありませんが、治療法の進歩によって、症状を和らげて腸管の状態をできるだけよく保つことで、日常生活への影響を軽減することができるようになりました。若い世代での発症が多いことから、「患者さんの心配事のひとつが就職です」と鈴木先生。病気を理由に不採用となるだけでなく、外見からはわからないことに加え、トイレの回数が多いことや腹痛を理由とした遅刻・欠勤を「怠けている」と見なされることもあるそうです。「就職面接では、クローン病であることを話したほうがいい、と患者さんには伝えています。病気のことをわかったうえで採用されたほうが、入社後のトラブル予防になるからです」(鈴木先生)

 健康な人と見た目は変わらなくても、食事や排泄、腹痛などの様々な悩みを抱えるクローン病患者。病を抱えながら暮らしている患者を受け入れ、病気について話しやすく、理解の得られる環境整備が進むことが期待されます。(QLife編集部)

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