なぜ関西人はパンが好きなのか? 神戸・京都・大阪で異なる“関西パン文化事情”

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2017年06月02日 19:00  citrus

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「関西人はパンが好き」。最近、メディアでよく取り上げられるようになったのだが、関西人の私も気づいていなかった。総務省統計局の家計調査(平成24〜26年)によると、パン支出金額の「トップ5」には、関西の都市が4つ入っている。1位:神戸市、2位:京都市、3位:大阪市、4位:堺市、5位:岡山市。関西文化の中心である、神戸・京都・大阪の“三都”で、パン文化が根づいている。

 

 

■パン好き文化の起源は神戸

 

では、なぜ関西人がパン好きになったのか?調べてみると、その起源は神戸にあるようだ。1868年の神戸港開港以来、多国籍文化が一気に神戸に流れ込んできた。同時に外国人が急激に増え、居留地が整備されるように。そして、西洋の食文化に欠かせないパンが製造販売されるようになったのは、当然のことである。

 

パン屋が増えれば、日本人も興味を示す。ふわふわな食感で香ばしいパンは、すぐに日本人を魅了した。パンに限らず、外国のお洒落なファッションや食文化が根づくことに、時間は掛からなかった。現在の神戸をカタチづくる出来事となった。

 

 

■流行に敏感な京都がパンに反応

 

その様子に、敏感な反応を示したのが京都である。伝統的な街でありながら、その反動なのか、“新しもの好き”として有名である。神戸でパンが流行っていると聞くやいなや、すぐさま神戸でパンづくりを学び、京都に広めたという。また、“新しもの好き”のためか、コーヒー・牛乳・バターの購入金額も京都市が日本一なのである。パン文化の広まる素地があったと言える。加えて、商人・職人の街なので、忙しい中、手軽に食べられるパンが大人気となったようだ。いまでは9割の人が、朝はパン派だという。

 

そして、こうした流れが大阪にも来たのかというと、そうでもないようだ。調べてみても、繋がりは見えてこない。まず考えられるのは、「粉もん文化」である。パンは小麦粉なので、たこ焼き・お好み焼き・うどんと同じ立ち位置で愛されているのかも。と思ったが、これは不正解のようだ。パンを粉もんとは認識していない。大阪人がパンを食べている光景として一番に浮かぶのは、朝食の食パンである。自宅や喫茶店で、トーストを食べている。なぜ、朝食に食パンを選んだのだろうか。

 

 

■大阪人の“イラチ”な気性と商人気質が産んだトースト文化

 

これは、大阪人の『イラチ』な性格からきているのではないか。『イラチ』とは、「せっかち」「気が短い」「イライラしやすい人」「落ち着かない人」のこと。ご飯食は手間と時間が掛かるが、食パンは焼いてバターを塗るだけ。『イラチ』には、“ちゃんと食べる”ご飯食より、“チャチャッと食べられる”パン食の方が、気性に合っているのである。特に忙しい朝は、好みより時間優先。

 

しかも、薄い食パンを何回も焼くことがないように、5枚切り・4枚切りを好み、1枚で済ませる。大阪名物『きっちゃてん(喫茶店)』でも、モーニングの食パンは、4枚切り・5枚切りである。さらに、商人気質が関係しているのかもしれない。同じように食パン1枚を食べるのなら、分厚い方が得であると考える。特に外で食べる場合は、薄いと文句を言ってしまうほど。何を選ぶにしても、“お得”な方が好きなのである。

 

分厚い食パンを日常的に食べるので、当然消費量は多くなる。『きっちゃてん』という文化が、食パンの消費量を押し上げていると考えても良い。また、『きっちゃてん』はコーヒーを飲むところ。コーヒーに合うトーストが定番化したのは、当然のことなのかもしれない。どうやら、大阪だけが神戸・京都とは違った発展をしたようである。ただ、近くにパン文化があったことが、キッカケになったであろうことは推測できる。だが、大阪人は他のマネをすることを嫌う。マネしていると思われないよう、『きっちゃてん』のメニューとして、取り入れたのではないか。

 

いずれにしても、関西の三都でパン食が広まったことは興味深い。やはり、「粉もん文化」によって、小麦粉を受け入れやすかったのではないかと私はみている。

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  • 近所のパン屋が廃業した時は悲しかったな。そのあと、代わりのパン屋を探すのに大変やった��������
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