新規事業の成功と失敗を分ける「会社の姿勢」とは

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2017年06月05日 17:04  新刊JP

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『超図解! 新規事業立ち上げ入門』の著者、木下雄介氏
多くの場合「新規事業」は会社にとって大きな意味を持つ。

業績が好調なうちに将来への種をまいておくにしても、業績不振の打開策にしても、新しいビジネスの立ち上げは、会社の未来がかかった難しい仕事には違いない。

もし自分がそのプロジェクトに参加することになった時、あなたは「自分とチームがやるべきこと」をすぐに把握できるだろうか。そして、その新しいビジネスを成功させるために、何が必要かを知っているだろうか。

今回は『超図解! 新規事業立ち上げ入門』(幻冬舎刊)の著者で、国内外の企業で多くの新規事業を立ち上げた実績を持つ木下雄介氏にお話をうかがった。その後編をお届けする。

■オーソリティのない新規事業は失敗する

――本の中でも書かれていましたが、新規事業の立ち上げは成功するよりも失敗する方が多いものです。典型的な「失敗パターン」がありましたら教えていただきたいです。

木下:大企業でありがちなのは、先ほども少しお話ししましたが、新規事業のプロジェクトチームが「別働隊」にしてもらえずに、既存の部門と同じように評価されてしまうパターンです。こうなると自由に動きたくても動けずに、結果失敗してしまう。

会社の規模が大きいと、稟議を通すのもものすごく大変で、時間がかかることが多いのですが、そのスピード感で新規事業をやっていたらすぐにポシャってしまいます。

それと、その新規事業プロジェクトにオーソリティがないパターンも失敗しがちです。成功したらものすごく大きな価値を生むプロジェクトなのに、会社側や会社にいる人からそれほどのものとして扱ってもらえないというケースは多いんです。

――「将来利益を生む可能性があるもの」より「今利益を生んでいるもの」が重視されがちなのは理解できるところです。

木下:そうなんです。他の企業(顧問先以外)でどんなことを考えているのか知りたいので、時々新規事業立ち上げの外部講習に参加したりするのですが、会社側からプロジェクトの大枠だけ決められて、あとはほったらかしにされていることに悩んでいる人は結構います。そうなると、プロジェクトにアサインしている人だけがものすごいプレッシャーにさらされてしまう。

だから、プロジェクト自体にオーソリティを与えることが大切なんです。直接に参加はしなくても「社長プロジェクト」とか「専務プロジェクト」とか、組織のトップ直轄プロジェクトという位置付けで、会社として重要な戦略プログラムであることを表明し、ヒト・モノ・カネを組織本体とは別枠にしてあげないと、まずうまくいかない。新規事業はそれくらいエネルギーのいることなんです。

――自社の既存の技術やノウハウを他の市場に転用する形で新規事業を立ち上げるというのは、一から技術開発を行うよりも敷居が低く魅力的です。「自社の技術やノウハウが優位性を持つ別の市場を見つける」というところで、注意すべきポイントはありますか?

木下:「今成功していること」を捨てないと始まらないのは確かで、ゼロベースで考えることが必要になるわけですが、技術開発系の人だけで集まって考えると、どうしてもプロダクトアウト的な発想になってしまいます。

だから、色々な部署、部門の人を集めて考えた方がいい。ブレインストーミングをするなら、技術系の人に加えてマーケティングや営業など、各部署から人を集めて行うのが重要だと思います。

――本書は、新規事業の立ち上げから、製品やサービスのマネタイズまで網羅的に解説しています。使い方についてアドバイスがありましたら教えていただきたいです。

木下:ハンドブックとかガイドブック的に使っていただければいいのではないかと思っています。新規事業立ち上げに初めて関わるという方であれば、一通り読んでいただくとマーケティングや、プロジェクト進行の基本的な概念は理解していただけると思います。

ある程度経験がある方は、プロジェクトの各段階ごとに章立てにしてあるので、必要な時に応じてリマインドとして使っていただきたいですね。

――最後に、新規事業立ち上げという難しい仕事に携わる人にメッセージをお願いします。

木下:水が半分入ったコップを見て、「まだ半分ある」と思う人がいれば「もう半分しかない」と思う人もいるという人間心理についての有名なたとえがありますが、新規事業についても、ポジティブな気持ちで取り組んでがんばっていただきたいですね。

成功すれば大きな自信になりますし、得られるものは大きいので、「チャンスをもらったんだ」と前向きな気持ちで取り組めば、きっと明るい未来が待っています。

私自身もまだまだ人生これからなので、新しいことにどんどんチャレンジしていきたいと思っています。一緒にがんばりましょう!

(新刊JP編集部)

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