<アメリカの銃規制に反対するロビー団体の全米ライフル協会は、銃所有を女性や子供にも広げる活動を熱心に展開している>
凄惨な銃乱射事件が起きるたびに銃規制の強化が叫ばれながら、議論が前進しないアメリカ。昨年の大統領選でも銃規制の是非が争点の1つとなったが、特に南部では「銃を持つ自由」を重んじる空気が強く、規制は簡単には進みそうにない。
それどころか銃規制反対を掲げるロビー団体、全米ライフル協会(NRA)は男性中心だった銃の所有者層を、女性や子供にも広げる活動を熱心に展開している。実際、銃を所持する女性は05年の13%から11年には23%に増え、女性向けの射撃教室も各地に誕生している。
【参考記事】黒人射殺事件の連鎖を生む元凶は
テキサス州オースティンでは10年、女性限定の射撃クラブ「シュア・ショッツ」が発足。女性同士で訓練するほうが自信と自尊心を高められると、創設者のニキ・ジョーンズは語る。
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会員は定期的に集まり、射撃の訓練を受けたり、銃関連グッズのデザインの話に花を咲かせたり。彼女たちは、他人に銃口を向ける機会が訪れないことを願いつつ、自分や家族の身の安全を守るために準備を怠らないつもりだと口をそろえる。
最年少の会員は4歳の少女。アメリカ社会から銃が消える日は遠いと思わざるを得ない。
週1回開催される女性限定の射撃クラスには、仕事を終えてから直接駆け付ける人も少なくない
射撃練習場の休憩スペースには「銃の敵は2つだけ。さびと政治家だ」の掲示が
クラブ創設者のジョーンズは常に銃を携帯。テキサス州では公共の場で他人に見える形で銃を持ち歩ける
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父親のサポートを受けながら射撃練習を行う少女を見守るジョーンズ。少女はクラブ最年少の4歳
月1回行われる子供向けの射撃教室では、人形の標的の代わりに風船が使われる
子供たちの持つピンク色の銃やホルスターはおもちゃのように見えるが、すべての銃に実弾が入っている
自宅のリビングで、代々受け継がれてきた100年ものの散弾銃を手にするクラブ会員のカリン
撮影:モラン・フェンコフ
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ラオス生まれのフランス人写真家で、主にフランスや東南アジアで活動。多様なコミュニティーの中にある文化的、社会的な規定をテーマに、カンヌ国際映画祭やヘビーメタル・ファン、タイのフランス人居住者などを取材、撮影している
Photographs by Moland Fengkov-Haytham Pictures
[2016年10月25日号掲載]
<「Picture Power」の記事一覧はこちら>
Photographs by MOLAND FENGKOV
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