自治体と大学が共同で母子の健康調査を実施

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2017年06月14日 12:02  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

出産率向上と低出生体重児減少が目的


画像はリリースより

 産学官連携事業の一環として、北海道岩見沢市と北海道大学が共同で、母子健康調査を始めます。妊娠中の環境の把握や、乳児期から幼児期、学童期など各成長段階での子どもの生活習慣や健康状態などを調査し、同大学でデータを分析して母子に還元します。出生率の向上や、増加傾向にある出生児の体重が2,500g未満の「低出生体重児」の減少を目的に、自治体と大学が共同で行うという点で、世界に類を見ない取り組みとなります。

 国内では、さまざまな子育て支援対策が行われてきましたが、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に生む子どもの数に相当)は、1985年の1.76から1.26(2005年)まで低下。2015年に1.45まで回復していますが、フランス2.01、イギリス1.92(いずれも2013年)などの先進国と比べると、まだ開きがあります。また、低出生体重児の比率も諸外国より高く、問題となっています。

 北海道大学は、文部科学省と科学技術振興機構(JST)が実施する「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」に参加しており、「食と健康の達人」拠点として活動を展開中。岩見沢市と共同で、母子の生活・成長を記録して保健師に相談できるスマートフォンアプリ「家族健康手帳」の開発や、子育て支援のためのフリーペーパー「live」発行などの取り組みを既に行っています。

対象は岩見沢市の妊婦と子ども

 今回の調査は、岩見沢市が主体となり、北大COIが共同で企画し、森永乳業株式会社、株式会社日立製作所などの共同研究企業の協力で実施。同市で母子健康手帳を交付された妊婦のうち、同意を得られた参加者を対象とし、母親と生まれた子どもに関する情報を集めます。

 対象者には、食事や運動といった生活習慣の情報のほか、母乳、便、尿などを継続的に提供してもらい、北大が測定結果を分析。それらの結果は、アドバイスをつけて対象者に報告します。さらに、岩見沢市の健康づくり施策にも反映させ、母子の健康を守り、子どもたちの健やかな成長と発達に寄与することを目指すというものです。

 岩見沢市では、本調査結果を基に、母子のケアにより力を入れることで、出生率向上や低出生体重児減のほかにも、健診受診率のアップや医療費削減にもつなげたい考え。地域と大学の“バックアップ”がどのような実を結ぶのか、興味深い研究となりそうです。(菊地 香織)

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