考え込んでもストレスや痛みは解決しない。現代人はインパラの生き方を学ぶべき!

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2017年06月14日 18:00  citrus

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痛みで苦しまない人生を医学で導く痛み改善ドクター富永喜代です。

 

痛みは、大きなストレスです。痛みストレスが長引くと、気分の落ち込みがずっと続くことがあります。本当は傷が治っても、冷えやストレスで痛みを誘発してしまい、自動的に最大限の警報機が鳴り続いている状態です。まるで危機が去って警報が必要でなくなった後でも、ずっと苦痛のサイレンが鳴り響いている状態です。

 

なぜ、ストレスの原因である傷が治ったのに痛みが取れないのか?しかも、痛みに一見、関係ないと思われる不安、ストレス、心配、苛立ち、冷えなどで痛みが誘発されるのか?それは、人間の危機対応反応、学習能力の高さゆえだと考えられています。

 

危機対応能力について、動物と人間には大きな違いがあります。あなたは、きっとNHKの『ダーウィンが来た!』などの動物特番で、アフリカのサバンナで生きるインパラを一度は見たことがありませんか?そう、あの茶色で角があって、ライオンやチーターに狙われる草食動物です。ライオンがいつ襲い掛かってくるか分からない生活を送っているインパラ。一回ライオンに狙われると、ライオンが一日追い回してあきらめるまで、もしくは誰か他の仲間が食われるまで、インパラは狂ったように走り逃げなければなりません。

 

しかし、いったん危機が過ぎ去ると、インパラの群れは何事もなかったように、また草を食べ始めるのです。そうです。インパラがライオンに気づいたときに発せられる命の危機を伴うストレス警報は、一度危機が過ぎ去ると、信じられないほど平穏な元の生活へと、一気にスイッチが切れるのです。

 

一方、人間はというと、ストレスを感じたときに、それが現実か想像かにかかわらず、自律神経が反応します。脳の最も原始的な扁桃体から海馬、視床回路によってコントロールされた闘争−逃避反応である交感神経を興奮させるのです。その結果、体を緊張させ、血管を収縮し、免疫力を低下し、表情をこわばらせ、胃をムカムカ、めまいやふらつきを引き起こしたりします。


そして、そのストレスの原因が去った後も、なぜこのように感じるのか、自分なりに説明できる理由を見つけようと脳が記憶をさかのぼり、その原因候補を探し始めます。ストレスを感じたときに、脳は過去に恐怖を感じたときの記憶を探し出そうとするのです。


そして、もし今、自分に起っているストレスが過去に経験のないものだと判断した場合には、なんとこの先、起こるかもしれない可能性についてオリジナルストーリーを作り上げるのです。『これからもっと悪くなったら、どうすればいいの?』『もし、○○が起こったら、どうしよう』などです。


人間は、過去のストレス対処方法を思い出すことで素早く対応しようとすることが、かえって仇になってストレスを膨らませてしまうんですね。人間は日々、ストレスにさらされたり引きこもっていると、真の脅威が去った後も、小さなストレスを感じたり喪失感を思い出しただけで、危機的なストレス反応をおこします。

 

それは脳の扁桃体が暴走し、常に警報の感度を上げ、日常的なほんのささいなストレスや気分の上がり下がりにも交感神経反応を引き起こしてしまった状態です。扁桃体の過剰なストレス反応を引き起こさないためには、今を生き、現状を適正に認知することが大切です。

 

今、リアルにどのように感じているかに焦点を当てることを重視し、頭で考え込みすぎないことです。考え込んでも原因が見つかることばかりではなく、ストレスや痛みの解決策が見つかるとは限らないのです。かえって出口の出ない考え込みは問題解決能力を低下させ、気分や情緒的な問題に対処能力が左右され、ストレス反応を増強させます。

 

医学的には、体を使わない人間ほど、ストレスで自分自身を追い詰めるのではないかと考えられています。

 

インパラのように軽やかに!Let'sMove!!!

 

ライオンの脅威が去った後の切り替えの速さを、何事もなく普段どおりの暮らしを送ることができる平常心を、学びたいものです。

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