長時間労働、残業代未払い…注目集まる「労基署」、どうすれば動いてくれる?

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2017年06月15日 10:14  弁護士ドットコム

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北海道新聞社が東京支社の社員への残業代未払いで、三田労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けた。


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報道によると、2016年2月に東京支社に対して労基署の立ち入り調査があり、33人に計約132万円の未払いが発覚。その後の社内調査で全社員の7割に未払いがあることが分かったという。


電通の過労死問題以降、労働基準監督署の動きに注目が集まっている。もし自身が残業などで困っている場合、どのように告発をすれば労働基準監督署が動いてくれるのだろうか。武田健太郎弁護士に聞いた。


●客観的な証拠、資料があるかどうかが重要

労働基準監督署は、労働基準行政の第一線機関として、労働基準法をはじめ所管する法律に基づき、労働条件確保・改善の指導、安全衛生の指導、労災保険の給付等の業務を行っています。


労働基準監督署の監督官は、司法警察官の権限があり、法律違反と判断した場合は是正のための指導や調査を行い、事業主などが度重なる指導にもかかわらず是正を行わない場合などの重大・悪質な事案については、取調べなどの任意捜査や捜索・差押え、逮捕などの強制捜査を行うことができます。労働基準監督署にはそのような強力な権限があるとはいえ、労働者からの申告を受けた事案の全てに動いてくれるというわけではありません。


労働基準監督署は、労働基準法をはじめ所管する法律に基づいて指導等を行う機関ですので、労働者の申告内容が労働基準法等の法律で直接判断することができる内容であることが前提です。そうでない内容については、労働基準監督署は介入してくれません。その前提要件を満たした上で、労働基準監督署が動いてくれるか否かにおいて、特に重要になることは労働者の申告内容を裏付ける客観的な証拠、資料等があるか否かです。


客観的な証拠、資料等の具体例としましては、残業代未払いの件でいえば、タイムカード、ビルの入退館記録、給与明細等です。これらの証拠、資料等がない場合でも、労働者が勤務時間を定期的に記録している手帳などのメモなども客観的な証拠、資料等になります。


残業代未払いをはじめとする会社を相手にする労働問題については、当該会社の社員として勤務しているときには、どうしても何かアクションを起こすことにマイナスイメージを持つ方が多く、弁護士に相談されるタイミングが遅くなってしまいがちです。しかし、労働者として、本来受けるべき正当な賃金等の請求を会社に対して行うことは、労働者として当然のことです。


残業代未払い等の労働問題に関して、一人で悩まず、まずは早期に弁護士にご相談することをお勧めします。早期の段階で弁護士にご相談されることで、紛争を予防し、早期解決が図れますし、紛争になった場合にも、収集すべき証拠、資料等を紛争が顕在化する前に把握することができ、有利に進めやすくなるといえます。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
武田 健太郎(たけだ・けんたろう)弁護士
大学時代にサッカーで全国大会を二連覇し、その後、日本フットボールリーグ(JFL)でサッカー選手として活動しました。また、教員免許も取得しています。
現在は、労働問題の他、離婚・男女問題、交通事故、学校問題などの民事事件から、成人・少年等の刑事事件まで幅広く扱っております。
事務所名:武田健太郎法律事務所
事務所URL:https://www.bengo4.com/tokyo/a_13102/o_25762/


このニュースに関するつぶやき

  • 労基は動きません。弁護士に金を払った方が確実です。
    • イイネ!17
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