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言い間違いが終わる日

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2017年06月16日 12:04  MAMApicks

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「ねー、今日の晩ご飯何がいい?」

4歳半になった娘は日増しにおしゃべりが上達し、自分の考えもしっかり言ってくれるようになったので、夕飯の献立に迷ったときには、リクエストを出してもらうことが増えた。

娘の希望はたいてい麺類だから楽で助かるというのもあるのだが、意思疎通が図れるようになった証拠だなと感じる瞬間だ。

「うーんと、ミートソースじゃない、まえにたべた、きのこのスパゲティがいい」


……あれっ、今何て言った?

2歳くらいからずっとスパゲティと言えなくて、スパチ、と言い続けてきた娘が、ハッキリと「スパゲティ」と発音した。

「よし分かった、スパチね」と返すと「スパチじゃないでしょ、スパゲティ」と念押しを返された。

もうそんな赤ちゃんみたいな言葉は使わないわよ、と言わんばかりの得意げな顔に、ただただ淋しさが残った。言い間違いがひとつ、終わってしまった……。

寝返りにお座り、ハイハイにつかまり立ち、初めて立った日も、初めて歩いた日も、何かができるようになったときはそれぞれに感動があった。

歩き出したら、ハイハイしていた日を懐かしく思って淋しくなるのかな、なんて思ったこともあったけど、意外とそんなことはなくて、成長した後の方がずっと楽しい。

とくに喋りだしてからは、その面白さに拍車がかかっている。
保育園でこんなことがあった、と一生懸命報告してくれるのはもちろん楽しいし、大人の口真似をしてヒヤっとさせられることもたびたび、屁理屈っぽいことを言われると「この野郎」となるし、歌や絵本の内容をすらすら覚えて復唱するのも、子どもならではの能力だな、と感心する。

そんな子どものおしゃべりの中でも面白さの最高峰は言い間違いじゃないだろうか。
どの家庭にも、「子どもの言い間違いでこれがお気に入り」というのがひとつやふたつあるのではないかと思う。

「大人でもなかなかうまく発音できないもんねー」という「言い間違いもやむなし」なものから、「その言い間違いの方が逆に難しんじゃない?」という高度なものまで幅は広いが、たどたどしく発せられる言い間違いはどれも総じて可愛いものだ。

親バカ上等で、娘の言い間違いは逐一スマホのメモに記録しておいたり、夫にも共有しているのだが、映像と音声がついていないと活字で振り返ってもいまいち面白みに欠ける。

とはいえ言い間違いは予告もなく突発的に発生するものなので、カメラをムービーに切り替えて現場を押さえる余裕もなく、メモを確認しては自分の記憶を頼りに脳内再生して「プププ」と反芻するしかない。

日々、娘の言い間違いを目ざとくチェックしているが、その中でも「トウ"モコ"ロシ」はとくに印象に残った。そう、『となりのトトロ』のメイちゃんでお馴染みの「トウモロコシ」の言い間違いだ。

『となりのトトロ』を初めて見たのはたしか筆者が小学校高学年のときだったが、当時から「しっかり者の姉&奔放な妹」という描写がステレオタイプ過ぎではないかと引っかかるものがあった。

そのため手放しで好きとは言えず「トウ"モコ"ロシ」も「これはちょっとオーバーに描きすぎじゃないのかな〜、子どもだからって騙されないぞ〜」と思っていて、何度見てもその違和感は拭えなかった。

しかし、ちょうど昨年の今頃、お迎えに行くと「きょうは、はたけにトウ"モコ"ロシとりにいったの」と報告してくれて、「ほんまにトウ"モコ"ロシって言っとるがな!!!」と驚いたのだった。

宮崎駿先生、子どもにありがちな音位転換をちゃんと調べてらっしゃったんですね……うがった見方をしていて大変申し訳ありませんでした!とスタジオジブリの方角に土下座したくなる出来事だった。

それ以降、娘はずっと「トウ"モコ"ロシ」と繰り返しているので、すっかりこちらも慣れてしまった。何だったら私も素で「トウ"モコ"ロシ」と言ってしまって、友だちに「何で君までメイちゃんみたいになってるの」と突っ込まれたこともあるくらいだ。

この言い間違いをできるだけ長く聞きたいし、今年は何回くらい「トウ"モコ"ロシ」と言ってくれるかな、なんて思っているが、トトロのメイちゃんも後になって「トウモロコシ」と正しく発音するので、本当に期間限定の面白さなんだなということも分かっている。


車をブーブー、ご飯をマンマ、というような赤ちゃん言葉はいつまでも使わない方がいい、と専門家の方から聞いたこともある。

子どもが幼児語を使う分には問題ないが、大人がいつまでもそれに合わせていると、子どもも正しい言葉を覚えられない、だからブーブー、マンマと言った後には大人が正しい日本語で話して、子どもが自然と使えるようになるように心がけましょう、ということらしい。

娘もさすがに今はブーブー、マンマとは言わないし、必要以上に子ども扱いするのではなくて、ちゃんと一人の人間として向き合っていきたい。だってどんな成長も喜ばしいものだから。

でも、やっぱり言い間違いが終わってしまうことだけは名残惜しい。
反抗期が来たら、この言い間違いメモを見返して涙で枕を濡らそう……そのためにこれからもコツコツとしたためておこうと、まだ来ぬ未来に備えている。

真貝 友香(しんがい ゆか)
ソフトウェア開発職、携帯向け音楽配信事業にて社内SEを経験した後、マーケティング業務に従事。高校生からOLまで女性をターゲットにしたリサーチをメインに調査・分析業務を行う。現在は夫・2012年12月生まれの娘と都内在住。

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