1秒先の腰の負担を予測、“進化”したコルセットを開発

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2017年06月19日 12:02  QLife(キューライフ)

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北大とニコンが共同研究


画像はリリースより

 腰の負担に応じて、内臓のモーターが骨盤締め付ける力を調節し、負担を軽減する“進化”したコルセット「アシストウェア」が、北海道大学と株式会社ニコンの共同研究によって開発されました。今後、現場での実証試験を通して、介護施設や労働現場などの作業時の腰の負担軽減につながるツールを目指しています。

 共同研究グループではこれまでも、身体にかかる負担と疲労を軽減することで疾病リスクを低減する「軽労化」をテーマに研究を行ってきました。2015年には、どのような作業でどの程度の負担がかかるのかを容易に察知できるセンシングウェアを開発。介護現場での実証試験により、介護者の腰の負担をリアルタイムに計測し、管理することに成功しました。

 今回は、センシングウェアで計測した腰の負担に応じて、前屈や荷物を持ち上げるときにかかる腰の負担を軽減するアクティブコルセットであるアシストウェアを開発。背面にセンシングウェアと同一のセンサ、コントローラ、モーターが内蔵されており、骨盤ベルトやコルセットのように腰に巻いて、簡単に使うことができるものです。

腰の負担を最大20%軽減

 作業時にコルセットや骨盤ベルトを装着することで、骨盤アライメント(位置、姿勢)を整えて、腰仙椎(ようせんつい)にかかる負担を和らげる効果があることが知られています。しかし、常に締め付けていることによる筋力低下など、逆効果が懸念されてきました。

 今回開発したアシストウェアは常に締め付けるのではなく、センシングウェアで計測した腰の負担に応じて、内蔵モーターが締め付ける力を調整できることが可能。パワーも強力で、一般的な骨盤ベルトより約1.6倍の力で締め付けることができます。効果をレントゲン撮影で確認したところ、立った姿勢では腰の負担が約20%、立った姿勢から前にかがむ動作全体でも約10%軽減されることがわかりました。

 さらに、センシングウェアで計測される動作情報から、約1秒先の腰への負担を予測することも実現。これにより、事前に腰の負担増加を察知し、アシストウェアがあらかじめ腰を締め付けることで、負担を軽くすることも可能となります。共同研究チームでは「作業中の腰負荷データを蓄積し、ビッグデータを解析することで、予見的な軽労化システムへと発展させていきたい」としています。(菊地 香織)

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