東北大学病院で個別化医療を推進する取り組みがスタート

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2017年06月21日 12:02  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

まずは、がんの「ゲノム医療」から


画像はリリースより

 東北大学病院は、ゲノム・オミックス解析や診療情報を活用し、患者さん一人ひとりに最適な治療を提案するシステム「個別化医療」を進める取り組みを始めました。個別化医療とは、それぞれの患者に合った治療法や薬剤などを提供するもので、まずは、がんのゲノム医療から進めたいとしています。

 遺伝子とがんの関わりは深く、遺伝子に生じた「異常」が原因でがんは発生します。近年、この遺伝子の異常を“標的”として攻撃する薬剤「分子標的治療薬」が使用されるようになり、がん治療の選択肢が増えつつあります。分子標的治療薬は、標的となる遺伝子異常があるがんに効果を発揮する抗がん剤。そのため、患者のがん細胞にどのような異常が生じているかを調べる「がんクリニカルシーケンス検査」をすることで、より有効な薬剤で治療を受けられるチャンスが広がることになります。

 同院では2017年4月1日、院内に「個別化医療センター」を設置。ゲノムコホート研究の基盤を有する東北メディカル・メガバンク機構や、最新医学知識と基礎医学研究の基盤を有する医学系研究科などとも連携し、希少性疾患を中心とした個別化医療の推進を図っていくプロジェクトとして始動しました。

ゲノム解析に基づく治療の最適化や発症の予防に期待

 具体的な取り組みとして、まずは、ゲノム医療・オミックス医療のなかでも、がんのゲノム医療をターゲットに進めていきます。ゲノム医療とは、遺伝情報全体を網羅的に調べた結果をもとにして、より効率的な診断や、効果的な治療などをするもので、近年、盛んに研究が行われている分野。同院では、個別化医療センターを中心に、疾患バイオバンクの設立とがんクリニカルシーケンス検査を行なっていきます。

 また、個別化医療センターでは、クリニカルシーケンス検査で得た現時点でのゲノム医療を提供。疾患バイオバンクでは、さらなる遺伝子解析研究を進め、将来的にはゲノム解析を基とした治療の最適化や発症の予防ができるような医療につなげていきたいとしています。

 厚生労働省では、がんゲノム医療の推進による死亡率の低下を実現しようと、「がんゲノム医療中核拠点病院(仮称)」の指定を検討中。東北大学病院は、ゲノム・オミックス解析基盤の充実や、解析結果を解釈し適切な医療を提供できる専門医が多数在籍しているなどの“強み”があり、現在、指定を受けるべく準備を進めています。(菊地 香織)

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