私のこのコラムを読んでくださっている方々の何%にあたるのかはよくわからないが、今日は「40代の男性」だけに向けて、“ゴメスの考え”を書いてみたい。
男性用化粧品部門では国内トップのシェアを誇る化粧品メーカー『マンダム』が、40代有職男性の身だしなみと外見の意識について調査を実施。その結果、
[「社会的に重要な立場を担う40代男性は、他人に不快感を与えないように配慮した身だしなみを心がけてはいるものの、マナーやエチケットの枠を超えて、外見を褒められるとうれしい」]
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という本音が垣間見られた。ちなみに、「言われてうれしい言葉」の上位を占めたのは「センスいいですね」「若いですね」「かっこいいですね」で、できれば「身近な存在である妻・恋人よりも、友人・知人といった周囲の女性にこう言われたい」らしい(「言われて傷つく言葉」の1位は「老けてますね」)。
たしかに、私が40代だったころは、別に有職者でも社会的に重要な立場を担っていたわけでもなかったけれど、おおよそ同様のマインドをもって、みずからのモチベーションの糧としていた……ような気もする。当時、キャバ嬢あたりの口から「センスいいですね」「若いですね」「かっこいいですね」の3点セットが惜しげもなく連発されていたおぼろげな記憶から推察するに、これらはもしかすると水商売の世界だと「40代男性を落とす対策」として、すでにマニュアル化されていたのかもしれない。
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ところが、この「褒め言葉3点セット」、そのまま私みたいな50代男性にスライドされても、案外微妙だったりする。
「センスいいですね」「若いですね」は、まあ今でも悪い気分はしない。しかし、「かっこいい」はどうなんだろう? 加齢と比例して確実に進行する「薄毛」「メタボ」「シワ」……ほか諸々の、一般論では「かっこいい」の範疇から弾き出される要素と日々直面せざるを得ない私ら世代にとっては、あまりにおざなりな“褒め言葉”ではないか。女性側もそういった“噛み合わせの悪さ”を本能レベルで汲み取っているのか、50歳をすぎれば「かっこいい」と褒められるケースはぐんと減少する。はい、40代男性の皆さん、ココすご〜く重要ですよー! 「かっこいい」だとか「イケメン」だとか言われてチヤホヤしてもらえるのは、郷ひろみやマッチやモックンでもないかぎり、せいぜいあと数年ですから!!
ならば、男児たる者50代になれば、いったい如何なる褒め言葉を女性からいただければ、心底“萌え”ることができるのか?
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まず、ありがちなのは「シブイ」。でも、40代男性の貴男! 自分が実際そう言われたときのことをじっくり想像してみてほしい。「シブイ」って言われてうれしいか? 私はちっともうれしくない。なぜなら「シブイ」は「老けてますね」の裏返し、つまり「老けている」をポジティブなかたちで表現した社交辞令チックな褒め言葉でしかないからだ。「ちょいワル」も「ホンモノのワル」ではないゆえ、「しょせんゴールは若いネエチャンを高級レストランにでも連れてって悦に入って終わりでしょ?」的な“カモ感”がただよっていて、やはり全然うれしくない。
私が女性に言われて一番うれしいのは、ズバリ「かわいい」である。私の経験上、「かわいい初老男子」は絶対にモテる、しかもヤレる! 50歳をすぎて、まだ「かわいい」と言われ続ける男は、たとえ相手が何歳・何十歳年下の女性でも、常に同じ壇上で“現役”として対峙しているからだ。
では、「永遠にかわいい男」でいるためには、はたしてどうすればよいのだろう?
正解は、「いつまでも叱られる男」でいること。数年前に、みうらじゅん氏から聞いた「叱られることこそ究極のアンチエイジング」という名言がある。50歳をすぎても仕事でミスして部下から叱られる、50歳をすぎてもハタチの女子のひざまくらでうたた寝して叱られる……こうやってダメな初老っぷりを、それこそ“センスよく”表現できる絶妙なバランス感覚を磨くことこそが、「加齢」と一見矛盾する「かわいい」という概念を同居させることができる“モテ”への秘訣なのだ。
ただコレ、原付免許の筆記試験のように一夜漬けで学習できるほど甘くはない。もし、現在40代の貴男が本気で50代になって「かわいい」と言われたいなら、とりあえずは明日からでも「セクハラ」と騒がれない関係の年下女性相手に、「酔ったフリしてひまざくら」くらいの地道な特訓を積み重ねるべき……ということだ。