まだまだ低い男性の出産休暇率 改善するにはどうすればいい?

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2017年06月29日 09:02  JIJICO

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まだまだ低い男性の出産休暇率


政府が閣議決定した「少子化社会対策白書」によりますと、妻が出産して2か月以内に出産休暇を取得した男性が55.9%、取りたくても取れなかった人が29.1%でした。
政府は2020年までに80%に引き上げる目標を掲げていますが、達成するためにはどうすべきでしょうか。


まずは制度の充実と周知


休暇取得者のうち、就業規則などで制度上、配偶者出産時休暇があると回答した人が60.8%であるのに対し、取りたくても取れなかった人は29.2%でした。
また、休暇取得者の職場は、「残業の削減や有給休暇の取得促進」、「産前・産後休業、育児休業などの制度の周知」などワークライフバランスに関する取組について「進めていた(「積極的に進めていた」+「まあ進めていた」)」の割合が高いとの結果が出ています。
やはり、制度を充実させてその周知を図るということが重要だということが分かります。


少子化対策は喫緊の課題


2016年の出生者数は、98万1000人と、統計をとり始めた1899年以降初めて100万人を割ってしまいました。
このままでは、社会保障を支える担い手の減少で制度維持が出来なくなる可能性があります。
また、経済を支える労働力の減少により国力の低下を招きます。
少子化対策は、喫緊の課題と捉える必要があります。


会社、上司のマネジメントを変えていかなければならない


出産休暇は、あくまで出産のためですので取っても出産当日や妻の退院日など6日未満が最多です。
出産休暇とは別の育児休業になると男性の取得率は一気に下がり、平成27年度で2.65%です。
政府はこちらの取得率も2020年には13%へ引き上げる目標を掲げています。
どちらの目標も達成するためには、会社及び上司のマネジメントを大きく変換する必要があります。
政府も今年3月に出した「働き方改革実行計画」の中で、少子高齢化対策のために画一的な労働制度を取り除き、多様な働き方が可能な社会にしていく、と謳っています。現に男性中心の長時間労働を是としてきた大手日本企業に対して、労働基準監督署を通じて取り締まりを強化してきています。


今後、企業及び上司は、画一的なマネジメントではなく、上司自らがワークライフバランスを重視し、従業員個別の事情に合わせたマネジメントをしていく必要があります。
そのためには、部下とのコミュニケーション、仕事のゴールの共有、仕事や会議に対する時間管理などを通じて、生産性をUPさせながら限られた時間で結果を出す、ということが求められます。
「オレが若い頃は、気がついたら朝になっていたもんだ・・」など、武勇伝を語ることは、もう「老害」と思わなければなりません。



(影山 正伸・社会保険労務士)

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