レモンサワーが進化を遂げている。
きっかけはエグザイルだろう。コンサートの打ち上げでメンバーがレモンサワーを一晩で2500杯飲んだことからエグザイル公式飲料となった。会場がイタリア料理店だったにもかかわず、ワインでもビールでもハイボールでもなくレモンサワーであったことが結構なインパクトだった。そうか、レモンサワー、おいしいよなぁと改めて火がついたのだ。
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■レモンサワーの誕生秘話
レモンサワーの進化をみるに、その発祥を知る必要がある。まず、最も有力な説は、創業1958(昭和33)年、中目黒の「もつやき ばん」といわれている。ちなみに現在は再開発のため閉店したが、五反田と祐天寺には元祖の味を守り抜く店がある。この店、レモンサワーというより「サワー発祥」の店でもある。
「サワー」。そもそもサワーとはなんなのか。これも気になる。
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「サワー」とは英語の「sour」、そう「酸っぱい」という単語から来ている。そこから派生して、酸味のある飲み物やカクテルを指す言葉となった。だから、サワーと付くなら酸っぱくないといけないわけ。サワードリンクというとお酢を使うこともあるネ。ちなみに、「ウーロンハイ」「緑茶ハイ」の「ハイ」は何かといえば、ハイボールのハイ。サワーとどこが違うかと言えば、酸味が入るか入らないか、であるネ。
さて発祥の店のレモンサワー、ベースの焼酎はキンミヤ、割り材は博水社のハイサワー・タンサン。レモンは丸ごと一個付いてくる。レモンの搾り具合やハイサワーの分量で自分好みの味付けにすることができるのも人気が広がった理由だ。また、この素敵な飲み物に「サワー」と名付けたのは、ハイサワーのメーカー、博水社の影響もあったとか。その後、レモン1個付きの生搾りレモンサワーはチェーン居酒屋にも広がり、生搾りグレープフルーツサワーへと変化を遂げたのはご承知の通り。
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実はここからが本格的な進化となる。ここ1〜2年の急速な進化のきっかけは、「ばん」でも使用されているホッピーのベースとして人気の「キンミヤ焼酎」ファンのアレンジ力とこだわりが原動力。よりうまいレモンサワーを飲みたい作りたいとさまざまに新しいチューンナップがはじまったのだ。
たとえば、レモンを凍らせて使用すること。小ぶりにカットしたレモンを凍らせて、氷代わりにごろごろグラスに入れる。そこに焼酎とソーダを注げば氷が解けて薄まることなく最後まで濃くおいしいレモン風味が楽しめるのだ。
丸ごと凍らせたレモンをすり下ろして使用するやり方もある。そう、まさにレモンが主役のサワーだ。ポイントは、すりおろしレモンに砂糖やハチミツをいれて酸味とバランスをとったり、ときに塩を加えて苦み走った味わいにするなど、造り手や飲み手のアイディアがぐぐっと投入されている。店によってはレモンスムージーを使ったり、チーズのすりおろし器できめ細かいおろしを作ったりとこだわりが面白い。
ベースの焼酎はキンミヤが人気だけど、宝焼酎からはその名もずばり「レモンサワー用」が発売されている。ポイントは、「レモンペアリング製法」とかで、なんでも、レモン果汁と相性の良いレモンの香り成分を持ったハーブを原材料の一部に使用し独自の蒸留・ブレンド技術でレモン風味が引き立つ製法で造られたとか。ま、レモンの風味がより引き立つ焼酎というわけ。飲食店としては使いやすいのではないだろうか。
■レモンサワーがこれほどまでにブームになった理由
ただ、飲食店でレモンサワーをこぞって出す大きな理由は、おいしいからだけではない。ずばり原価率が低いからという現実的な理由がある。焼酎やレモンの金額を考えれば、おのずと客でも想像がつく。さらに、ジョッキに焼酎を注ぐだけで、あとは炭酸もレモンもどんっとテーブルに出すのみ。手間もほとんどかからない。飲食店としては、実に効率のいい提供酒になるわけだ。
ハイボールが一大ブームになった大きな理由は、飲みやすさ、爽やかさ、ドライ感などのほかに、原価率の低さがあげられた。飲食店としては、ビールよりハイボールを飲んでもらった方が儲かるというわけだ。もちろん、糖質ゼロ、プリン体ゼロの魅力も手伝っている。ビールが売れない理由がそこにもある。今回のレモンサワー、手間暇かかったこだわりタイプではなく通常タイプならばハイボール同様、飲食店の強い味方になりえる商材なのだ。
さて最後に友田流のおいしいレモンサワーのポイントをお伝えしておこう。まずは癖のないすっきりとした焼酎をベースにし(ウォッカでもOK)、レモンは多めで、炭酸は控えめ。さらに、農薬とかワックスとかを使用していないレモンを使いたい。だって、今回ブームのレモンサワーは大量のレモンを皮ごとごくごく飲むわけでしょ。そこのところ、実に気になっているのである。
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