自覚症状がないまま病気が移行する「C型肝炎」

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2017年07月04日 12:01  QLife(キューライフ)

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国内で約120万人が「ウイルスに感染していながら未治療」の状態


東京大学医科学研究所感染症分野教授 四柳宏先生

 自覚症状なく、気付かないうちに「肝硬変」や「肝がん」に移行する危険のある肝炎。肝臓の炎症が6か月以上続いた状態を「慢性肝炎」といいますが、そのほとんどが肝炎ウイルスによるものです。国内ではC型肝炎ウイルス(HCV)によるC型慢性肝炎の患者が慢性肝炎の約7割を占めています。さらに、HCVに感染していながら治療を受けていない患者さんは約120万人いるといわれています。

 ギリアド・サイエンシズ株式会社は6月28日、C型肝炎治療に関するメディアセミナーを開催。東京大学医科学研究所先端医療研究センター感染症分野教授の四柳宏先生による講演が行われました。

 「肝細胞がん患者の約3分の2が、HCVに感染しています」と四柳先生。「HCVは肝細胞だけではなく、白血球・リンパ球といった血液細胞にも感染し、全身に症状が現れます。また、HCVに感染していると2型糖尿病、骨粗しょう症などを発症する可能性が高くなります」(四柳先生)

進歩し続けるC型肝炎治療

 C型肝炎治療には、炎症を抑えて肝臓を保護する「肝庇護療法」と、HCVを直接攻撃してウイルスの増殖を抑える「抗ウイルス治療」があり、抗ウイルス治療ではインターフェロンやリバビリン、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)などの薬が使用されます。「2014年9月にDAAだけの治療が可能になったことになり、今はDAAの時代になってきたといえます」と四柳先生。「注射剤から飲み薬になり、治療期間も短くなったことは、大きな変化だと思います。C型肝炎治療は、進歩し続けています。」と語りました。しかし、DAAの治療がうまくいかなかった患者さんや、肝臓としての機能を果たせなくなってしまった「非代償性肝硬変」の患者さんへの治療など、まだまだ課題は山積しています。

 1992年以前の輸血歴や不衛生なピアス処置などが感染原因として考えられるHCV。感染しているかどうかは、血液検査で調べることができます。検査は、ほとんどの医療機関で受けることができ、地域ごとに無料で受けられる医療機関もあります。また、職場によっては健康診断での検査が可能な場合もありますし、献血をする際に結果通知を希望すると、HCVに感染していた場合に教えてくれるサービスもあります。気になる人は、一度検査してみてもよいかもしれません。(QLife編集部)

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