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遠距離恋愛で、結婚に向けて仕事をやめたのに、一方的に婚約を破棄されたーー。そんな悲しい相談が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに複数寄せられている。
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ある相談者は、長年付き合っていた彼氏と婚約した。遠距離だったため、退職して、一緒に住むための引っ越しの準備をしていたが、一方的に婚約を破棄されたという。仕事をやめて困っているようだ。
また、ある相談者も遠距離恋愛で、婚約後に退職した。プロポーズされて婚約指輪をもらい、互いの親へのあいさつ・食事会もすませていた。ところが、彼氏と同居をはじめたところ、考え方や生活習慣が合わないとして、一方的に婚約破棄されたという。
このように、一方的に「結婚」の約束を破られた場合、相手に対して慰謝料を請求できるのだろうか。また、引越し代や仕事をやめた補償なども求めることはできるのだろうか。上将倫弁護士に聞いた。
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「一方的に、結婚の約束を破られた場合、相手に対して慰謝料の支払いを求めることができます。
本来、結婚前の恋愛は原則として自由であり、いつ、どのような理由で別れたとしても、基本的に責任を負うことはありません。
しかし、婚約が成立しているような場合には、相手方に対して、正当な理由なく、破棄してはならない義務を負っています。婚約の不当破棄は、民法上の不法行為、または債務不履行に該当します。
婚約を不当に破棄された場合には、相手方に対して、慰謝料を含めた損害賠償を求めることができます」
どんな場合、婚約の「不当破棄」として認められるのだろうか。
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「まず、婚約が成立していることが必要です。
婚約が成立していると評価されるためには、単に、結婚に関する会話があったというだけでは足りません。結婚について、具体的な約束がされている必要があります。
実際には、結納や婚約指輪の授受の有無、結婚式の予約の有無など具体的な準備の状況、親族への紹介の有無など、客観的な事情が重視される傾向があります。
次に、婚約破棄に、正当な理由がないことが必要です。たとえば、相手の浮気が判明したとか、相手から暴力を受けているとかいった理由で、婚約を破棄するのは、やむをえないことですので、婚約の不当破棄とはいえません。
しかしながら、考え方や生活習慣が合わないという抽象的な理由だけでは、結婚生活に具体的な支障が生じることが明らかではないため、正当な理由とはならないでしょう」
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引越し代や仕事をやめた補償などを求めることはできるのだろうか。
「求めることができます。その請求は認められる可能性があります。
今どき、結婚するからといって、女性が仕事をやめるのが、常に当然だとはいえませんので、一般論として、仕事をやめたことによる補償が認められるかどうかは、ケース・バイ・ケースでしょう。
もっとも、遠距離恋愛が成就して結婚する場合には、退職や引っ越しが伴うことが多いです。そうすると、引っ越し代金や仕事をやめたことによる逸失利益についても、認められる可能性は高まります。
ただし、認められうる逸失利益は、再就職までに必要とされる合理的期間に限られます」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
上 将倫(かみ・まさのり)弁護士
2001年に弁護士登録して現在16年目。家族、子どもなどのドメスティックな問題に関心を持ち、男女間トラブルや離婚、遺言・相続、児童虐待などの事件に積極的に取り組んでいる。
事務所名:弁護士法人松尾・中村・上法律事務所
事務所URL:http://www.mnk-law.jp/
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