汚れと共存できない…増える「潔癖症」「強迫症」の人々

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2017年07月13日 19:00  citrus

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最近、テレビなどで過剰に潔癖な芸能人が取り上げることをよく見ます。そして、そのような芸能人の行動に対して、共感する人が増えていると感じます。お金と時間があれば、綺麗にしたいと思っている人はとても増えているようです。

 

私のカウンセリングルームには、強迫症の方がよくいらっしゃいます。強迫症とは、特定の行動が止められない病気です。最も有名な症状は、手洗いが止められないという症状です。強迫症の方の多くは、自分がやっている行為が、「本当は必要のない行為だと分かっているけれど、止められない」という自覚があります。そのため、手洗いを行うことは苦痛だと考えています。この強迫症は、本質的には潔癖症とは違うものなのですが、非常に似通っています。

 

潔癖症は、汚いものに触れたくない、洗浄したいというものが主な症状になります。強迫症の方と違い、繰り返し同じような洗浄行為をしないこと、「洗浄行為は、必要なことだと思っていること」が大きな相違点になります。この潔癖症も、強迫症と同じでような要因で悪化していると感じます。

 

 

■「潔癖すぎる」人たちが増え続けるワケ

 

まずは、メディアによる過剰な報道です。私の所に来る方は、よくテレビのCMで「どれだけ日常に雑菌があるのか」、テレビ番組によって「綺麗だと思っていたのに不衛生だった」という情報を得ています。最近は、放射能、PM2.5などについての報道をみる機会もあるかと思いますが、メディアが発信するこれらの情報を無視できないのです。

 

「そんなこともあるんだ」と置いておくことができずに、絶えず頭の中で気になってしまう状態に陥るなかで繰り返しこのような情報にさらされることで、頭の中に「汚いものだ」という感覚が刷り込まれていくのです。

 

潔癖症・強迫症ともに、汚れを避けたり、洗浄行為を行い続ける習慣が、症状の悪化につながります。例えば、公共トイレの便座をいつも除菌ペーパーで拭いてから使用する人は、除菌ペーパーなしに座ることができなくなります。そうすると、除菌ペーパーが設置されていない公共のトイレを使えなくなり、こうして次第に汚いものを避ける習慣が身についてしまうのです。

 

さらにある時、「前に使った人は、手を洗っていない状態でトイレの個室のドアノブを触ったんだから、ドアノブも汚いのでは?」「1回拭いただけで便座の汚れは綺麗に拭けたのか?」などのような考えが浮かび、無視できなくなるのです。これを払拭するためには「洗浄行為を行うしかない」と考え、洗浄行為が増えていくのです。

 

 

■多様化する洗浄・抗菌グッズ、一方で高まる「衝動性」

 

こうした“汚れを避ける習慣”や、“洗浄行為を行う習慣”を下支えするものが、洗浄・抗菌グッズの多様化・携帯化です。これらの商品の多様化に伴い、「汚い」と思ったらすぐに洗浄行為を行うことができるようになりました。「汚い」状態をすぐに消せるようになると、「汚い」と洗浄行為の結びつきが強くなってしまいます。少しでも早く、「汚い」を消したくなる衝動性も強くなってしまうのです。

 

元来、日本人は真面目であり、完璧を求める傾向があります。そのため、少しでも汚いと思ったものを排除していこうという傾向にあると感じます。しかし、「汚れ」を排除しようと思っても排除しきれません。そして、「汚れ」に対する免疫がどんどん落ちていきます。「汚れ」と共存できるようになっていくことが、本来のあり方であり、免疫がつく生き方でもあります。

 

 

■汚れを受け入れていくことで、コントロールをしていく

 

強迫症の治療では、暴露反応妨害法と呼ばれる専門的な方法を使って治療をしていきます。これは、自分が苦手としている汚れに触れていく治療方法です。このような体験を繰り返し重ねていくことで、「汚れていてもいいのだ」という心境になっていきます。この「汚れていてもいいのだ」という心理状態が汚れを受け入れていくということになります。

 

実際、免疫をつけていくためには異物の存在が必要になります。ある程度の汚れを受け入れていくことで、免疫力をあげていくのです。これは、身体的なものでも精神的なものでも同じです。免疫力を高めていくことが、人間本来の持っている力を大きく伸ばします。

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