<共産主義と資本主義が混ざり合う現代の中国は、進歩的でもあり破壊的でもある>
壮大な「一帯一路」構想、途上国への巨額のインフラ投資、外国経済を左右する爆買い......。急速な経済成長を遂げた中国は、世界の風景を一変させている。だが、何より複雑で大胆に変化したのは、中国そのものだ。
きらびやかなショッピングモールや大量生産の工場、欧米のコピー商品は、中国的な価値観に欧米文化の波が押し寄せ、共産主義が資本主義と混ざり合う様子を物語る。その変化は、進歩的でもあり破壊的でもある。
写真家プリシラ・ブリッグスは、08年に初めて訪れた中国で独特の「共産党支配下の資本主義」に興味を引かれた。その後何度も中国東海岸を旅し、撮りためた作品を写真集『インポッシブル・イズ・ナッシング(不可能は何もない)』にまとめた。
【参考記事】中国人の収入は日本人より多い? 月給だけでは見えない懐事情
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国家共通の目標が、個人の希望よりも優先されるべきだという共産党の推し進める価値観とは裏腹に、中国の経済成長は急拡大する消費者階級を生んだ。彼らは欧米の資本主義を手本に贅沢さや地位を追い求める。
コピー商品の蔓延や工場労働の風景からは消費主義のもたらす弊害も読み取れる。だが作品が表現するのは、あくまで楽観的で強気な現代中国の姿だ。
Photographs from "Impossible is Nothing: China's Theater of Consumerism" (Daylight Books) by Priscilla Briggs
高級ブランドが立ち並ぶ上海のショッピングモール「グランドゲートウエー」
浙江省温州市の店先に並ぶマネキン
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西洋名画のコピーを「大量生産」する福建省廈門(アモイ)市の油絵画家
リッチな場面を演出するウエディングフォトスタジオ(福建省晋江市)
下着産業で発展した広東省の汕頭(スワトー)市陳店鎮には至る所に巨大広告があふれる
陳店鎮の工場でブラジャーの縫製をする労働者
毛沢東が批判した「走資派」を中傷する置物(北京の骨董市場)
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上海グランドゲートウエーのきらびやかなショッピングモール
廈門の南西部コロンス島にある企業の入り口
撮影:プリシラ・ブリッグス
ファイン・アート・フォトグラファーで、欧米の美術館や写真祭などで作品を発表している。米ミネソタ州グスタブス・アドルフス・カレッジ准教授。本作は新刊写真集『インポッシブル・イズ・ナッシング』(米デイライト刊)からの抜粋
[2017年7月18日号掲載]
<「Picture Power」の記事一覧はこちら>
Photographs by PRISCILLA BRIGGS
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