元女囚が教える「ポン中」の見分け方――半永久的に続く覚醒剤の害

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2017年08月13日 17:03  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

Photo by iyoupapa from Flickr

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■「あの人は、まだクスリをやってはる」って、すぐにわかりますよ

 最近、周囲におかしい人、いてないですか? ちょっと前ですが、友達の友達から、「最近付き合い始めたカレが、どうもおかしい」という相談を受け、会ってきました。

 現れたカレは、めっちゃイケメンで、ITの仕事でけっこう稼いでいるとのこと。うらやましい……と思ったのもつかの間、「めっちゃおかしいやん!」と驚きました。

 冷房の効いた喫茶店で、いつまでも汗をかき、ずっと唇をなめています。しかも、何かとリアクションがオーバーで、お冷やの入ったグラスを何度も口に運ぶなど、とにかく落ち着きがありません。これは、かなりの確率で覚醒剤中毒者ですよ。

 この時は何も言わずにお開きにして、その日の夜、彼女に電話しました。

「なんか、ヤバいクスリやってるんと違うかなあ」

「やっぱり……。いくら稼ぎがよくても、アカンですよね」

 彼女はがっかりしてましたが、「その道のプロ」だった私に言われて、あきらめもついたようでした。

 覚醒剤を使ったら、どのくらいカラダにとどまると思いますか? おしっこは1週間程度ですが、髪の毛や爪は、使い始めてから伸びた分を切るまで残るそうです。私の場合は、警察で、おしっこはもちろん、髪を100本近く切られ、爪も切られました。さらには、自宅に落ちていた髪も拾われています。一緒に使った人がいるか、見るためでしょうね。

 捜査いうより、ほとんどイヤガラセです。おしっこを採る時は、なんと男性警官もいてました。「なんでオトコがおんねん! SMか!」と抵抗しましたが、ダメでしたね。ひどいもんですが、まあ私も悪いことをしたので、しょうがない面もあります。

 そして、髪や爪以上に残るのが、「脳内」です。幻覚などの妄想は、半永久的に続くといわれています。使用をやめていたとしても、ちょっとしたストレスやお酒など、小さなきっかけで「フラッシュバック」が起こってしまうこともあるんです。

 覚醒剤は、使い始めて2〜3カ月ほどで、幻覚や幻聴、被害妄想などの症状が出るといわれています。この時すぐに治療すれば治るそうですが、逮捕(パク)られるとわかっているのに、医者に行く人なんかいてませんよね。せやから、どんどんひどくなっていくんです。

 覚醒剤事件の場合、初犯だとまず執行猶予がつきますから、ここでも治療の機会はなくなります。つまり、シャブでムショにやってくるのは、2回以上の逮捕で、「シャブで妄想の症状がかなり進んだ」状態のコたちなんですよ。

 おかげさまで私はなんとか大丈夫なのですが、今でも覚醒剤をやってる人は、すぐにわかります。ムショに入ってくる新人ちゃんたちの4割は覚醒剤がらみ(※)で、「自分、ナニやって来たん?」「シャブの使用です」とか会話する前に「あ、このコはシャブやな」と、すぐにわかります。

 パクられて、判決が確定するまで、短くても何カ月か掛かるもんですが、そんな程度では抜けないほどの量を使っているんですね。そして、落ち着きがないくせに、ヘンな集中力はあるのも特徴です。手紙を書く時なんか、肩や顔にめっちゃ力が入って、唇がヨコにいってたり、足の指がぐーっと開いてたりします。あまりにも「ヘン顔」なんで、「唇、ヨコにいってるよ……」と教えたろかと思ったこともあります。あまりにも集中してて、声をかけるのが申し訳ないので、言うたことはないですけど。

 でも、そのくらいならまだいいです。ネットニュースで、歌手のASKAさんが収容先の病院で「お菓子のサブレを洗濯物のように干していた」と報道された時は、「これは、相当イッてるなあ」と思いました。その後も、ヘンなブログを書いてはったりしてますよね。

 同じポン中でも、10人に1人くらいの、いわば「選び抜かれた人」なのだと思いました。ここまで進んでしまうと、完全に治すのは難しいでしょうが、ファンも多いし、がんばってほしいですね。ただ、ASKAさんがパクられた時は、合成麻薬のMDMAも持っていたそうで、これはシャブよりも脳への影響はひどいといわれています。でも曲作りとかの才能には、きっと影響ないですよ。

※法務省『犯罪白書』によると、収容者の罪名はほぼ毎年同じ割合で、覚醒剤と窃盗(ほとんど万引)が4割ずつ、あとは詐欺が5%、殺人が2%くらいです。そのほかは暴行傷害とか、脅迫とか放火とか横領とかですね。バクチもありますが、やっぱり女性は少ないです。

nakanorumi16中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

このニュースに関するつぶやき

  • >でも曲作りとかの才能には、きっと影響ないですよ。 え、何を根拠にそんなこと言えるの?? 彼がヒット作を出していたのは昔の話でしょうに。クスリやって売れる曲書いていた事実があるなら不法行為利得になるんじゃないかな。
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