YouTuberヒカルさんの「VALU」売却行為、「詐欺罪」が成立するのはどんな場合?

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2017年08月24日 11:23  弁護士ドットコム

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個人が発行した仮想株式を取引できるサービス「VALU」で、人気YouTuberのヒカルさんらが、自身の仮想株式を高値で売却するなどした行為について、ヒカルさんらの所属事務所の代表は、ネットメディア「Business Insider Japan」のインタビューに対して「詐欺罪にあたらない」とこたえている。


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ヒカルさんは8月9日、VALUに「上場」した。その後、ヒカルさんは8月14日、ツイッター上で「明日一気にバリューで動く」と投稿。本格的にVALUを開始するかのような表明で、ヒカルさんの仮想株式は高騰していった。


ところが、ヒカルさんらは8月15日、自身が保有する仮想株式を売却したことから、ネット上で批判殺到。さらに、ヒカルさんのVALUページに「VALU保有者限定のオフ会orセミナー等をやる予定にしています」「(優待期間)『2017/07/20〜2017/08/08」と記載されていたことから、「詐欺ではないか」という指摘もあがっていた。


ヒカルさんらの行為が刑法上の「詐欺罪」にあたると判断されるには、何がポイントになるのか。田沢剛弁護士に聞いた。


●詐欺罪が成立するためには?

「刑法の詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させたり、財産上の不法の利益を得たりすることで成立する犯罪です(刑法246条1項、2項)。


まず、『相手を欺く行為』がなくてはなりません。具体的には、その行為によって、相手が錯誤に陥り、その錯誤が原因で、行為者が希望する『財産的処分』をするに至るようなものでなければなりません。


また、詐欺罪は故意犯ですので、わざとやったかどうかが重要です。その行為の際に、この因果(原因と結果)の流れについて認識している必要があります」


今回のVALU騒動については、どう考えるのか。


「少なくとも、ヒカルさんが、期待感を煽るような投稿をおこなった際に、その投稿内容が虚偽であって、しかも虚偽であることについて認識していなければ、詐欺罪の故意はなかったということになります。


まして、投稿によって、相手が錯誤に陥ることや、それによって財産的処分行為をすることについての認識もなければ、やはり詐欺罪は成立しません」


今回のケースで、詐欺罪が成立する可能性はあるのだろうか。


「主観的要件(故意など)があるかどうかの判断は、客観的な事実関係に照らして、慎重に行う必要があります。


そのため、事情がもう少し明らかにならない限り、詐欺罪の成否をたやすく論じることは難しい、というのが正直なところです。


ただ、関係者が、事前に共謀していたなどの事実が出てきた場合には、真相解明も早くなると思います」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
田沢 剛(たざわ・たけし)弁護士
1967年、大阪府四条畷市生まれ。94年に裁判官任官(名古屋地方裁判所)。以降、広島地方・家庭裁判所福山支部、横浜地方裁判所勤務を経て、02年に弁護士登録。相模原で開業後、新横浜へ事務所を移転。得意案件は倒産処理、交通事故(被害者側)などの一般民事。趣味は、テニス、バレーボール。
事務所名:新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
事務所URL:http://www.uc-law.jp


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