自分のお葬式やお墓選び 元気なうちにできることとやっておくべきこと

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2017年08月25日 08:22  JIJICO

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ニーズが高まる「葬儀の生前予約」、「生前建墓」


ご実家のお墓参りをされることの多い時期、「元気な今はお墓参りできるが、今後が不安」「自分の葬儀やお墓のことを考えておきたい」という声が増えます。今できること・やっておくべきことを解説します。


近年、「家族に迷惑をかけたくない」という思いから、ご葬儀やお墓についてあらかじめ用意・準備をしておきたいというニーズが以前にも増して高まっています。もちろん、「亡くなる前から葬儀やお墓の準備をするなんて、縁起でもない!」という方もいらっしゃいますが、どちらかというと、縁起のことはひとまず置いておいて、将来のことをリアルに考える方が増えているように見受けられます。


そういった消費者の意向を反映して、各葬儀社では「事前無料相談会」や「葬儀の生前予約」に力をいれる事が多くなってきました。特に、増加傾向にある家族葬(知人や関係者は葬儀に呼ばず、家族のみで葬儀を行う)においては、新しい葬儀の形であるため、実際の葬儀の流れがまだまだイメージしにくいという事もあります。あらかじめ葬儀の規模や祭壇の形式など、葬儀社に相談しておいた方が、持っていたイメージと違ったり、想定外の予算がかかってしまったりすること無く、安心して葬儀を執り行うことができるわけです。


また、お墓を持っていない方が、いざお身内の方を亡くされてからお墓を探そうと思っても、ご自宅からの距離や予算など、自身の希望と合う墓所が見つからずになかなか決めることができない、ということもあります。いざという時に慌てないために、生前の内に墓地を探し、自分の気に入ったデザインや彫刻を施したお墓を建てる「生前建墓」をされる方は、新規でお墓を求める方の6割以上です。むしろ、お身内を亡くされた後にお墓を探される方の方が少ないと言えます。


現在は一般的なお墓以外にも、永代供養墓や樹木葬など、様々な選択肢がある分、時間を掛けてじっくりと考えたいという方も増えています。


「生前建墓」には税制上のメリットも


あまり知られていないことですが、お墓は法律上「祭祀財産」(さいしざいさん)という分類をされます。ご先祖様をお祀りするための財産と位置づけられ、仏壇や祠などもこれにあたります。祭祀財産は他の不動産などと違い、相続税の課税対象から除外されます。


相続税法の改正により、以前よりも相続税が課税される対象となる方が増えた現在、現金を残すのであればむしろ、あらかじめお墓を用意していた方が、相続税がかからずに済むというケースもあります。


「できること」と「やっておくべきこと」は違う


葬儀の生前予約も生前建墓も、元気な内に出来る準備であることは間違いありません。しかし、一番やっておくべき事は、家族の中での相談です。


自身の死後のことなどあまり口に出したくない、と言う気持ちは分かりますし、残る子どもたちや孫たちのために良かれと思ってやるのだから、相談する必要は無いと思われる方もいらっしゃるでしょう。


ところが、「良かれと思って」やったことが、お子さんやお孫さんたちの意に沿わず、かえって後々トラブルになるケースもあります。例えば、「多くの人を呼ぶのは大変だろうから」と、相談せずに家族葬を予約したり、「子どもたちがお墓参りするのは面倒だろうから」と、子供達に無断で先祖代々のお墓を撤去して永代供養墓を買ったりした方が、「勝手なことをして欲しくなかった」と非難されたケースすらあるのです。


葬儀やお墓はご自身の問題であると同時に、家族の問題でもあります。自分の意思とご家族の意思をきちんとすり合わせ、自分たち家族にとって最良の方法は何なのか、しっかりと相談しておきましょう。



(二上 昌弘・お墓ディレクター)

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