今話題の「睡眠負債」。日々の睡眠不足が借金のように積み重なり、仕事や生活の質が下がってしまう危ない状態です。気をつけたいとは思いつつも、忙しい毎日でなかなか満足いく睡眠が取れない……という人は多いはず。そこで今回は、拙著『仕事が冴える「眠活法」』の中から、忙しい人でもムリなくでき、「睡眠負債」の解消に役立つ3つの方法をご紹介します。
■「睡眠ホルモン」をコントロールする
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体内時計をコントロールしているのは、メラトニンというホルモンです。体内時計に働きかけて「睡眠」をもたらす作用があるため、睡眠ホルモンと呼ばれています。メラトニンは脳の松果体から分泌されていて、メラトニンが増えると眠気を感じ、メラトニンが減ると眠気が軽くなります。また、メラトニンは強い光を浴びると合成・分泌がストップするという性質があります。
そのため、朝目覚めたときに太陽の光を浴びることで、メラトニンの分泌が止まり、体内時計の乱れをリセットできます。決まった時間に起きて、規則正しく同じ時間に光を浴びる習慣をつければ、体内時計は毎朝調整され、睡眠のリズムを一定に保つことができるのです。
朝起きたら、まずカーテンを開けて太陽の光を浴びましょう。朝起きてもカーテンを開けずに布団の中でだらだら過ごしていると、体内時計の調整がうまくいかず睡眠リズムの乱れが生じやすくなります。そうなると、朝起きてもすっきりしない、夜もなかなか寝つけないという状態になってしまいます。睡眠のリズムを整えるために、朝起きたら、まず太陽の光を浴びることを習慣づけましょう。
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■残業続きのときは「分食」を
夜遅くなったとき、手軽に食べられて、1人でも入りやすいのがラーメン店や牛丼店です。これらの店は深夜も営業している店が多く、どちらも夜食の人気メニューとなっています。しかし、深夜のラーメンや牛丼は肥満を招くだけでなく、睡眠のリズムも乱す要注意メニューです。夜寝る前にたくさん食べてしまうと、胃や腸の働きが活発になり、どうしても睡眠が浅くなってしまいます。夜の食事は軽くすませる。これがよい睡眠を得るための食べ方だといえるのです。
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また、最近の研究では、深夜に食事をすること自体が体内時計を遅らせるということが明らかになっています。残業続きだからといって、夜遅くに食事をしているとどんどん夜型の生活へとずれていってしまうのです。よりよい睡眠を取るためにも、夜の食事では「過食をしない」「夜遅くに食べない」の2点を意識しましょう。
もし、残業で夜遅くなることがわかっているなら、夕方に軽く食事をしましょう。帰宅してまだ小腹が空いているようなら、糖質を控えた軽食をとるようにしてください。これは「分食」というのですが、肥満予防のためにも、睡眠の邪魔にならずにエネルギーを補給するためにも有効です。
夕方のもう一踏ん張り前の分食にいいのが、おにぎりやサンドイッチです。これらはすぐにエネルギーになる糖質が多く含まれているので、夕方からのエネルギー補給にぴったりです。また、カロリー補給のための栄養補助食品やシリアルバーはコンビニエンスストアなどでも手に入りますから、常備しておくのもよいかもしれません。夜遅くに帰宅してからの夕食(夜食に近いですね)は、サラダ、豆腐料理、卵料理、魚料理など糖質や脂質が少なく短時間でさっと食べられるメニューがおすすめです。
■「睡眠儀式」が眠りを変える
専門用語では「睡眠儀式」と呼ぶのですが、眠る前に心身をリラックスさせるルーチンワークを作っておくのも、睡眠に役立ちます。子どもに対してよくやることなのですが、寝る前に絵本の読み聞かせをする、子守唄を聞かせる、同じブランケットをかけるなど、何かしら決まったことをするようにして、それを繰り返します。すると、その「何か」をすることで脳と体が眠る準備をするようになり、寝つきがよくなるのです。大人も同じで、寝る前にやることを決めていると、それをすませることで体が眠りに入りやすくなる傾向があります。
たとえば、毎晩のストレッチはどうでしょう。ストレッチによるリラックス効果もありますが、それをしたことで気持ちが落ち着き、「もう寝よう」という気持ちの準備ができてきます。「睡眠儀式」には決まりはありません。好きな音楽を聴いたり、呼吸を整えたり、リラックスすることであればなんでもいいのです。それこそ、寝る前にホットミルクを飲むことも「睡眠儀式」になりえます。あまり難しく考えず、ほんのちょっとしたことでかまいません。忙しいなかでも毎日続けられるような手軽なものがベストです。1日の終わり、眠りに落ちる前に心身をほっとさせる「何か」を探してみてください。
【関連書籍】『仕事が冴える「眠活法」』(三笠書房)