話し合いが停滞せずアイデアが湧き出る!「博報堂式打ち合わせ」の極意

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2017年09月11日 23:23  新刊JP

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『博報堂のすごい打ち合わせ』(SBクリエイティブ刊)
新しい商品やサービスを考える会議。いいアイデアが誰からも出ず、気づいたら何も決まらないまま会議終了の時間。そんなことがよくありませんか?

その原因は、次の2つにあるのかもしれません。

・発言できる空気になっていない。
・アイデアが生まれやすい話し方をしていない。


上司から頭ごなしに「意見はないのか」「アイデアを出せ」と言われても、なかなか発言できるものではありません。また、お互いの発想を刺激し合う会話がなければアイデアは生まれにくいもの。

そんな停滞しがちな話し合いを劇的に変えるヒントが詰まった一冊が『博報堂のすごい打ち合わせ』(博報堂ブランド・イノベーションデザイン局著、SBクリエイティブ刊)です。

博報堂では、「会議」と「打ち合わせ」をはっきり区別しています。
「会議」は、情報共有のために行われ、司会役の議事進行(アジェンダ)のもと、一方通行で形式的に進んでいくもの。「打ち合わせ」は、考えやアイデアを積み上げていくために行われ、参加者全員が自発的・相互的に意見を出しながら、ひとつの答えを出すものです。

では、どうすれば「アイデアの積み上げ」と「参加者全員の自発的・相互的な意見」がある打ち合わせになるのでしょう。

■「50%の雑談」でアイデアは生まれやすくなる

博報堂の「打ち合わせ」は、なんと「50%が雑談でできている」そうです。
1時間の打ち合わせなら30分は雑談。普通の会社なら怒られそうですが、博報堂社員が、話し合いの半分を雑談に費やすのは、その裏にある3つの効果を知っているからです。

「全員が発言しやすい場になる」若手社員にとって上司や先輩がいる場で発言するのは勇気がいるもの。しかし、雑談なら年齢や役職に関係なく発言できる空気ができて、さまざまなアイデアが出てきやすくなります。

「視野が広がる」
ある問題の解決策を見つけるとき、テーマに集中し過ぎると、思考や発想が狭くなってしまいがち。
そんなときは、雑談であえて話題を散らかして視野を広げると、発想が拡散して思いもよらぬアイデアが生まれてきます。

「リーダーがメンバーの心理状態をチェックできる」
雑談をすると、メンバーの緊張や疲れ、悩みといった心理状態が見えてきます。
参加メンバーの状態を見ながら話し合いの進行を変えることで、効率的な打ち合わせになるのです。

本書では、「アイデアは、人ではなく会話に宿る」と述べられています。「雑談」のチカラで会話をスムーズにすることが有意義な打ち合わせのポイントなのです。

■ブレイクスルーが起こる「8つの質問」

博報堂では、アイデアが見つかった瞬間、いわゆるブレイクスルーの瞬間を、「抜けた」と表現します。博報堂の研究開発局で調べたところ、「抜けた」瞬間は、「質問が発せられた瞬間」の後に訪れやすいということがわかったそうです。
では、どんな質問がブレイクスルーを生み出すのでしょうか?

それが、次の「8つの視点を意識した質問」です。

1.「それって○○に似ていない?」(喩える)
2.「その商品の起源は何?/その商品は10年後、どうやって使われている?」(時間軸で考える)
3.「個人的にココがすごく気になるんだけど……」(意外性を捉える)
4.「ライバル会社なら、どのように攻めてくる?」(他人頭で考える)
5.「自分の実感で言い換えてみると?」(体感を尺度する)
6.「弱みを強みとして考えると?」(逆にして考える)
7.「その隠れた○○を考えてみると?」(隠れた本質を見抜く)
8.「そのアイデアをひと言で言うと、何?」(ひと言で言ってみる)


「喩える」を具体的な会話例で見てみましょう。

社員A「最近の電子辞書は、辞典だけじゃなくて、家庭の医学から俳句の季語まで何でも入っているよね」
社員B「でも、機能が多いからといって売れるとは限らないよ」
社員C「それって“幕の内弁当”のようなものじゃない? 色々入っているけど、印象に残らない。今回の商品は“脱・幕の内弁当”が必要なんじゃないかな」

「電子辞書」を「幕の内弁当」に喩えることで、課題の発見というブレイクスルーが生まれ、チーム全員が課題をズレなく認識して共有できたわけです。

このように話し合いの流れに応じて、8つの「ブレイクスルーを意識した質問」を雑談に入れていけば、行き詰まることなく打ち合わせが進み、予想外の面白いアイデアも生まれてくるかもしれません。

(ライター/大村佑介)

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