安室奈美恵の引退宣言をきっかけに考えた、「引き際」の美学

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2017年09月22日 09:03  新刊JP

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安室奈美恵の引退宣言をきっかけに考えた、「引き際」の美学
90年代から日本のミュージックシーンを牽引してきた歌手の安室奈美恵さんが、デビュー25周年の節目に、1年後の2018年9月16日をもって引退することを発表した。
インターネット上では「信じられない!」「引退は悲しすぎる」といった声がある中、「最後までカッコイイ」「引き際が潔い」といった、惜しみながらもその決断を支持する声も数多く上がっている。

自分の決断で身を退くことも「美学」なら、生涯現役を貫いていくのも「美学」だ。
どちらが正しいということもないし、優劣があるわけでもない。なぜなら、「引退」は自分の中で決めるべきだからだ。
安室さんの「引退」が支持されるのも、きっと多くのファンが、彼女の「美学」を感じているからだろう。

普通のサラリーマンでも、そんな「美学」を持つ人はいる。
100歳を超えてもなお現役サラリーマンを続けた福井福太郎氏は、生涯現役を貫く美学を持って仕事を続けた人物だ。
福井氏は、1912年(明治45年)生まれ。大学卒業後、慶應義塾大学の助手、軍人、毛皮の商売、親友が立ち上げた望月証券(現在はみずほ証券に合併吸収)の幹部、その子会社の法人金融の会社の幹部、一線を退いた70歳からの30年以上は東京宝商会の顧問として働き続けた。
同氏の著書『100歳、ずっと必要とされる人』(福井福太郎、広野彩子著、日経BP社刊)で、働き続ける理由について「元気な間は、人間はずっと働かなきゃいけないと思ってるんです。」と答えている。

福井氏がサラリーマンを続けた根底には、福井氏なりの「信念」がある。その「信念」に共感したからこそ、100歳という高齢にも関わらず、周囲の人たちも働き続けることを支持したのではないだろうか。

安室さんと言えば、10年ほど前からライブ中のMCトークをなくして、数時間のステージを歌とパフォーマンスだけで魅せてきた。そこにはステージに対する並々ならぬ強いこだわりが感じられる。
それだけこだわり抜いてきたステージから降りるという選択には、辞めるだけの「信念」があるはずだ。そして、引退を支持するファンは、まだ言葉にはされていない「信念」を感じ取り、共感したのではないだろうか。

彼女の引退まであと1年。安室奈美恵という稀代の歌姫は、きっとファンの期待を裏切らないステージを続け、颯爽とステージを去るのだろう。この残された1年を彼女からの贈り物だと思って、最後まで応援していく。それがファンとしての「美学」かもしれない。

(ライター/大村佑介)

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