【写真特集】明るい防空壕が物語るイスラエルの危険な日常

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2017年09月26日 17:22  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<日常に溶け込む防空シェルター――ここでの生活がいかに危険と隣り合わせであるかが伝わってくる>


イスラエルには100万を超す防空シェルターが存在する。建国以来、自国を敵視する国々に囲まれた土地で、何度もミサイルやロケット弾による攻撃を受け、市民が犠牲になってきた教訓の結果だ。


現在は「市民防衛法」で地方公共団体にシェルター設置が義務付けられているほか、民間の家屋や事業所もシェルターを備えなければならない。これにより核や生物・化学兵器などによる攻撃を受けても、全ての国民がすぐに避難することができるようになった。


写真家のアダム・レイノルズはそれらシェルターを撮影し、写真集『存続の危機に関わる建築物』にまとめた。そこには、一般にイメージされる物々しい「避難場所」とは大きく異なる姿が映っている。


多くはくつろぐための家具や設備、装飾を備え、普段は音楽スタジオやフィットネスジムなどとして使用されている。生活に密着した形でスペースを有効活用するためだ。


イスラエルの日常に溶け込むシェルター。そこが避難場所としての緊張感がなく、明るい雰囲気を持つ空間であればあるほど、この国の人々の生活がいかに危険と隣り合わせであるかが伝わってくる。


集合住宅内に設置されているシェルター


普段は地域のコミュニティーセンターとして使われているシェルター


非常時にはシェルターになるよう頑丈に造られた会議室


小学校にあるシェルターは子供たちの遊び場になっている


ヘブライ大学内のモスクとして使われているシェルター


パレスチナ自治区ガザに隣接する町スデロットの駅はロケット攻撃に耐えられる造り


壁に大きな鏡が取り付けられ、ダンススタジオになっている


撮影:アダム・レイノルズ


中東の政治的紛争をテーマに活動するドキュメンタリー写真家。米インディアナ大学でファイン・アート、ジャーナリズム、政治学を、イスラエルのヘブライ大学でイスラムと中東研究を学ぶ。写真の創造性とジャーナリスティックな主題へのアプローチとのバランスが取れた作品制作を目指す


Photographs by Adam Reynolds from the book "Architecture of An Existential Threat" published by Edition Lammerhuber


[2017年9月19日号掲載]


<「Picture Power」の記事一覧はこちら>



Photographs by ADAM REYNOLDS


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