発売前のiPhoneXを従業員の娘がYoutubeに公開、父は解雇に…仕方ない?

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2017年11月07日 10:43  弁護士ドットコム

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11月に発売された「iPhone X」をめぐり、YouTuberの娘に端末を貸したアップル従業員が、娘がレビューをYouTubeで公開してしまったことをきっかけに解雇されてしまったと報じられ、話題になっている。


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AppleInsiderによると、アップルは発売前のハードウェアを撮影した動画や写真の公開を禁じているほか、社内の撮影も認めていない。YouTuberが投稿した動画には、父親から借りたiPhoneを操作し、本社内でFace IDを使って顔認証をする様子などがはっきりと写っていたため、問題となったようだ。


日本の法律で考えても、今回のようなことが起きてしまった場合、父親は解雇されてしまっても仕方がないのだろうか。大山弘通弁護士に聞いた。


●過失とはいえ、機密保持契約に反したことに

「今回の件は、解雇されてもやむを得ない場合であると思います。


使用者は労働者を自由に解雇することができず、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当な場合に限り解雇が認められます(労働契約法16条)」


今回の件はそこまでのものだったのか。


「今回の件では、Apple社は労働者と厳しい機密保持契約をしており、発売前のハードウェアの公開や社会撮影を厳重に禁じているとのことです。公開や撮影をしたのは労働者本人ではなくその娘さんですが、労働者としてもそのような事態を招くことがないように気をつけるべきところ、気をつけていなかったことで、過失とはいえ機密保持契約に反したことになります。


また、機密保持契約の内容は不明ですが、報道によれば労働者も解雇に納得しているとのことで、機密保持契約への違反の程度も大きいようです。


そうすると、今回の解雇については、機密保持に反したという点で客観的に合理的な理由があり、影響の大きさを考えれば解雇となることも社会通念上相当といえるのではないかと考えられます。


ただし、解雇が有効と認められるかどうかは個別の事情を総合的に考慮する必要があります。今回の事案のように会社の信用をおびやかすような事態があって初めて解雇もあり得るものです。


ブラック企業の中には、会社で特に秘密ともされていない情報を噂話で話しただけで、『機密をもらした』とことさらに取り上げて、『解雇だ!』とおどす例もあるようですが、そのような場合にまで解雇が認められるわけではありません」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
大山 弘通(おおやま・ひろみつ)弁護士
労働者側の労働事件を特に重点的に取り扱っている。労働組合を通じての依頼も、個人からの相談も多い。労働事件は、早期の処理が大事であり、早い段階からの相談が特に望まれる。大阪労働者弁護団に所属。
事務所名:大山・中島法律事務所
事務所URL:http://on-law.jp/


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