豪裁判所、「未送信メール」を遺書と認定・・・日本でも認められる?

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2017年11月14日 10:02  弁護士ドットコム

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オーストラリアの裁判所がこのほど、自殺した男性の「未送信メール」に法的な効力があると認める判決を下した。BBCやAFP通信など、海外メディアが報じている。


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亡くなった男性は生前、(1)すべての財産を兄弟や甥にわたす、(2)遺灰を庭に埋めてほしい――という内容のメールを下書きしていた。ほかに、妻に対する不満などもつづっていた。死後、彼の携帯電話から下書きがみつかった。


裁判では、男性の妻側が「未送信メールは遺書として認められない」と主張したが、スーザン・ブラウン裁判官は「亡くなった男性の遺言の意思を示している」と判断したということだ。


今回はオーストラリアでの判決だったが、日本でも、メールが遺書として認められることはあるのだろうか。未送信メール(下書き)やLINEに書かれたものはどうだろうか。増田勝洋弁護士に聞いた。


●日本でメールは「遺言」と認められていないが・・・

「日本の民法では『遺言』といいます。遺言は、民法に定める方式にしたがわなければ無効とされています(民法960条)。たとえば、『自筆証書遺言』という本人の自筆による遺言は、作成者が全文、日付、氏名をみずから書いて、押印しなければ、有効な遺言と認められません(同法968条1項)。


この点、押印の概念がないメール方式による遺言は、民法上想定されていませんから、遺言として認められないことになります。


したがって、送信済、未送信にかかわらず、メールは遺言として認められません。また、同じ理由で、LINEによる遺言も、日本では民法が改正されない限り認められないことになります」


では、メールやLINEに書かれたものは何の影響もないのだろうか。


「ただし、遺産分割の協議や調停などの場で、亡くなった方(被相続人)が遺産の分配などについて、生前どのように考えていたかを認識するうえで、民法に定める方式に一致すると認められない遺言であっても、有力な証拠になることはあります。


未送信メールやLINEへの書き込みも、その作成された時期や状況、前後の書き込みの内容や文脈などによっては、被相続人の意思を推測する手段として、重要な役割をはたす場合はあると思います」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
増田 勝洋(ますだ・かつひろ)弁護士
大阪弁護士会、司法委員会、司法修習委員会委員 著書:『事例にみる遺言の効力』(共著、執筆担当)
事務所名:増田法律事務所
事務所URL:http://www.masuda-law.net/


このニュースに関するつぶやき

  • 日本はなんでも想定してない、予想外だっただな。アメリカあたりは商品に過剰なほど注意書してるし少しは見習ったら?
    • イイネ!1
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