「悪徳便利屋」見積もりせず、15分の作業後に「5万円」請求…どうしたらいい?

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2017年11月20日 10:42  弁護士ドットコム

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便利屋から高額請求されたーー。こんな相談が弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられています。


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相談者の女性は、ゴキブリの駆除について便利屋に電話したところ、見積もりをお願いしても「行って確認してみないと分かりません」と言われました。結局男性の作業員1人が自宅に来ましたが、見積もりもせず、作業は15分ほどで終了。料金を尋ねると、5万円を請求されたと言います。


「だまされたのか、私の脇が甘かったのか」と女性は嘆いています。こんな「悪徳便利屋」もいるようですが、事前に被害を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。万が一遭遇してしまった場合、どう対応したら良いのでしょうか。上田 孝治弁護士に聞きました。


●勝手に作業を行った場合は、代金を支払う理由はない

「このようなケースでは、そもそも、お金を払って作業をお願いするという契約自体が成立していたかどうかがまず問題になります」


上田弁護士はそのように指摘します。どういうことでしょうか。


「一般論として、契約前の段階で、作業代金が厳密に決まっていることまでは求められません。そのため、代金が決まっていなかったからただちに契約不成立ということにはなりません。しかし、契約成立にあたっては、厳密な金額ではなくても一定の対価を支払って作業をお願いするという程度の約束が必要と考えられます。


そのため、この程度の約束すらないままに便利屋が一方的に作業を行ったのであれば、契約によらずに便利屋が勝手に作業を行ったことになり、便利屋の主張する代金を支払う理由はありません」


相談者の女性は、代金を返してもらうことはできるのでしょうか。


「便利屋が契約のないまま作業を行い、作業後に『もう作業をしたのだからお金を払え』と求めたのに対して、消費者がやむなくお金を支払ったということであれば、お金を支払ったことが事後的な契約の成立と扱われる可能性もあります。


しかし、この際に便利屋が、『お金を支払わなければ家から帰らない』などと言って消費者を困惑させて契約させたと評価できれば、消費者契約法により契約を取り消すことができ、支払済みのお金を返してもらうことができます。


さらに、仮に契約があったとされる場合でも、消費者の自宅において契約がされたということであれば、訪問販売に関する特定商取引法の規制の対象となります。


具体的には、便利屋が必要事項を記載した契約書面を消費者に渡す義務などが発生し、消費者はこの書面を渡されてから8日以内であればクーリングオフで契約を解除することもできます。クーリングオフをすれば、消費者は作業の対価を便利屋に支払う必要はありませんので、支払った代金も全額返してもらうことができます」


●契約する意思をもって呼んだ場合はクーリングオフができない

気をつけるべき点はありますか。


「訪問販売であったとしても、消費者が確定的に契約する意思をもって業者を呼んだ場合(例えば、費用がいくらかかったとしてもとにかく作業をお願いするつもりで自ら便利屋を呼んだようなケース)には、特定商取引法のごく一部の規制を除いて適用がなく、クーリングオフもできません。


逆に言えば、消費者が、とりあえず費用を見積もってもらうために便利屋に家に来てもらい、契約するかどうかは見積もり後に考えたいというようなケースであれば、消費者に確定的に契約する意思があったわけではありませんので、原則どおり訪問販売の規制がかかり、クーリングオフなどをすることができます」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
上田 孝治(うえだ・こうじ)弁護士
消費者問題、金融商品取引被害、インターネット関連法務、事業主の立場に立った労働紛争の予防・解決、遺言・相続問題に特に力を入れており、全国で、消費者問題、中小企業法務などの講演、セミナー等を多数行っている。

事務所名:神戸さきがけ法律事務所
事務所URL:http://www.kobe-sakigake.net/


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