こんな会社はアブない!「しくじる会社」を見極めるポイントとは?

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2017年12月11日 22:33  新刊JP

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『しくじる会社の法則』(日本経済新聞出版社刊)
2017年は、企業の不祥事が相次いだ。
大企業では、日産自動車、スバル、神戸製鋼所、三菱マテリアル、東レなどの不祥事が発覚。
また、てるみくらぶの破綻劇、アディーレ法律事務所の景品表示法違反、その他あらゆる業種で長時間労働問題が明るみに出るなど、多くの企業が「しくじった」1年だと言えるだろう。

『しくじる会社の法則』(高嶋健夫著、日本経済新聞出版社刊)は、そんな「しくじる会社」と「信頼できる会社」の見極めに役立つ一冊だ。

本書を読めば、自分が勤める会社はもちろん、取引先や営業先、就職先などが「しくじりそう」かどうかの判断に役立つだろう。

■「しくじる会社」の社長はメガネが汚い?

本書では、1000人近い経営者へ取材した経験から著者が導き出した「しくじる会社の法則」が挙げられている。

まず、「社長の身だしなみ」は要チェックポイントだ。
たとえば、「アルマーニのスーツを着て、ロレックスの時計をつけているようなタイプの経営者に限って、いつもメガネが汚れている」という。

いくら高級ブランドに身を包んでいても、細かいところに社長の「心がけ」が垣間見える。身だしなみの悪さから、社長としての資質や経営姿勢が透けて見えてしまうのだ。

そうした「心がけ」はトークにもあらわれる。
やたらとIT用語や経済用語、話題の経営書の言葉を使う「自分の言葉で話さない社長」。話の端々に著名人、有名人の名前を出す「有名人病にかかっている社長」。こうした社長は「見栄っ張り」であることが多い。

見栄に固執する社長は、不祥事を隠してしまったりギリギリまで問題を棚上げにしたりしてしまうので「しくじる」可能性が高いと言えるだろう。

■「外」と「中」でわかる危ない会社

昔から言われている「しくじる会社」の鉄板法則は、「社長が高級外車を乗り回すようになる」ということだ。業績が好調になった途端に高級外車を乗りますような社長は、資金管理や経営に対する堅実さ、誠実さが危ぶまれるからだ。

それと同じくらい危ないのが「本社が新しくなった会社」だ。
中堅・中小企業の場合は、特にこのポイントは重要だ。一流企業や有名企業が入っている高層ビルに本社が移ったら警戒アラームが鳴っていると考えていいという。

なぜなら「本社はおカネを産まない設備」だからだ。
店舗や工場なら設備投資には大きな意味があるが、本社の場所は直接的に売り上げ増には貢献しない。これも社長の見栄が透けるポイントであり、社長としての資質や経営姿勢が問われる部分だ。

また「受付が汚い会社」「動線と段取りが悪い工場」「店舗によってオペレーションの質にバラつきがあるチェーン店」なども、しくじる会社の典型例だという。こうしたポイントは、取引先の会社が信用できるかどうかを見極める材料になるだろう。

■記者歴40年のベテランが明かす「会社の本当の顔」がわかる場所

40年近く企業を取材して記者によれば、会社や社員の日常、つまり「会社の本当の顔」を知るための場所がいくつもあるという。

まずは「エレベーターホール」だ。アポを取った相手が現れるまでに、社員ウォッチングをすると、声をかけてくる親切な社員もいれば、不審な目を投げかけてくる人までさまざまなケースがあるようだ。ある会計士は、新しい顧問先の会社に行った時には、わざと廊下で迷った振りをするという。その時の対応で会社の雰囲気がおおよそ掴めるわけである。

タバコを吸う人なら、喫煙所は「社員の素の声」が拾える絶好の場所だ。来客用IDを下げていても意外に気にされず、着任したての上役の寸評から部署間の悪口などを耳にするという。

また、ご近所の評判から「会社の本当の顔」を探ることもできる。
地方の会社を訪問する際などは、タクシーの運転手から話を聞くといいだろう。

社名を告げただけで行き先がわかってもらえる会社は、地元の認知度も高いと判断できる。
さらに、最近の様子を聞いてみると「ここのところ来客が多い」「海外のビジネスマンをよく乗せる」「リーマンショック後はあまり業績が良くないらしい」といった、生の情報が聞けることもあるという。

どんなに表面を取り繕っても、「しくじる会社」のほころびはそこかしこにあらわれる。経営者なら我が身を振り返る機会になるし、営業マンや就職活動をする人にとっては、会社の良し悪しを見極めるヒントが得られる一冊だろう。

(ライター/大村佑介)

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