「#MeToo」日本でも広がる「セクハラ」告発…法的に有効な「証拠」の集め方

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2017年12月21日 09:43  弁護士ドットコム

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米ハリウッド映画界に端を発したセクハラ告発「#MeToo」が世界に広がっている。日本では、ブロガー兼作家のはあちゅうさん(本名:伊藤春香)が、電通在籍時にセクハラ・パワハラを受けていたと、BuzzFeedの取材にカミングアウトするなどして、話題になった。


【関連記事:上司の私的な誘い拒否→「社会人失格」と書かれたメール届く…セクハラでは?】


セクハラやパワハラをめぐっては、弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも多くの相談が寄せられている。たとえば、上司から、胸やお尻を触られたり、「一緒に寝よう」「エッチしない?」など性的な発言をかけられたというものだ。2人きりの密室で発生しやすく、録音データなど「物的な証拠」がない、と相談している人もいる。


こうしたセクハラやパワハラは、告発したにもかかわらず、「証拠がない」などとして、「なかったこと」にされる場合も少なくない。はたして、どのような証拠が法的に有効となるのだろうか。労働問題にくわしい新村響子弁護士に聞いた。


●録音やメールは、有力な証拠になる

「ハラスメントは、加害者が事実自体を否定することが多く、特にセクハラは密室でおこなわれたり、一度きりだったりすることも少なくないため、立証が難しいです。


ハラスメントの録音やメールなどは有力な証拠になります。隠し録音でも違法ではありません。また、ハラスメントそのものの録音でなくとも、事後的に相手がハラスメントがあったことを前提に話をしていたり、謝罪している会話の録音やメールが証拠になることもあります。


そのほかには、目撃者の証言やメール、ハラスメントで体調を崩した際に受信した病院のカルテ、日記などが証拠になります。


証拠が何もないとき、裁判では、被害者の心理や、その他当事者の関係、日ごろの性格、行動、事件後の対応、事件前後の事情との整合性などをふまえて、両者の供述の信用性が判断されます」


●明確な拒否的行動をとれないという被害者心理がある

まさにハラスメントされようとしているとき、どう対応すればいいのか。


「『#MeToo』で声を上げる女性たちのように、ハラスメントを受けた心の傷はいつまでも残ります。そのような心の傷を負ってしまわないように、勇気を出してその状況から逃げて被害を防止すること、誰かに相談することが一番大切だと思います。


どうしても避けられない場合には、スマホの録音アプリを起動させるなど、できるだけ証拠の確保につとめましょう」


今回のムーブメントについてどう考えるか。


「これまでハラスメントの被害者はなかなか声を上げることができず、泣き寝入りをしてきました。『#MeToo』の広がりによって、世の中に蔓延するセクハラ・パワハラの実態が明らかになればと思います。


同時に、セクハラを受けたときに明確な拒否的行動をとれないという被害者心理を多くの男性に知ってもらい、『同意がある』『愛がある』と勘違いしないようにしてもらいたいですね」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
新村 響子(にいむら・きょうこ)弁護士
東京弁護士会所属。日本労働弁護団事務局次長、東京都労働相談情報センター民間労働相談員。労働者側専門で労働事件を取り扱っており、マタハラ案件のほか解雇、残業代請求、降格、労災、セクハラなど多数の担当実績がある。
事務所名:旬報法律事務所
事務所URL:http://junpo.org/labor


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