成功する居酒屋が語る 店づくりのこだわりポイント

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2017年12月21日 20:03  新刊JP

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『串焼き1本80円でも年商1億円稼げます』(秀和システム刊)の著者、内山九十九氏
今も昔も、飲食店経営を志す人は多い。しかし、「飲食店ほど難しい商売はない」と言われるように、ほとんどのケースでは成功することなく撤退を余儀なくされる。

飲食店成功のカギは味か、接客か、立地か、はたまた運か?
その秘密を探るべく、『串焼き1本80円でも年商1億稼げます』(秀和システム刊)の著者で、居酒屋チェーン「かぶら屋」を経営する内山九十九さんにお話をうかがった。今回はその後編をお届けする。

■「うまいものを出せば客はつく」のまちがい

――飲食店をはじめる人は「おいしいものを出せば客がつく」と考えがちですが、そうではないことが内山さんの本を読んでよくわかりました。このほかに飲食店をやろうとしている人が陥りやすいまちがいがありましたら教えていただきたいです。

内山:繁盛するかどうかは味だけじゃないというのは確かです。かといってサービスだけでもない。どこにどんな需要があるのかをきちんと知ったうえではじめるということが大切なのではないでしょうか。

自分が出そうとしている店、自分がやろうとしていることにどれくらいマーケットがあるのかを把握しないと難しいですよね。

――結局は立地がすべて、ということを言う人もいますよね。

内山:立地は本当に大事です。ただ、アクセスのいい場所にあればいいかというと、そんなこともなくて、そこも商品によって変わってくるものだと思います。わざとわかりにくい場所に店を構えて、それでも繁盛しているお店もありますからね。

かぶら屋の場合は、「わざわざ食べに行く店」ではなくて「そこにあるから寄る」店ですから、人が帰宅途中に見える場所っていうのがポイントになります。

――駅から近いし、アクセスがいいのに、なぜか飲食店が入っては撤退してというのを繰り返している物件もありますからね。

内山:ありますよね(笑)。

テナントの早期撤退が続くと、物件のオーナーが次の借り手を渋るようになるんですよ。どういうことかというと、自分のビルに入れる店をオーナーが厳選するようになるんですけど、それでうまくいくかというと余計ダメになってしまったりする。「あのビルはどこが入ってもダメだ」みたいな噂も立ちますし。

ただ、経験上うまくいかない立地というのは、駅から近くてもちょっとしたロータリーを二つくらい越えないといけなくて足を延ばしにくかったり、階段がすごく急だったり、なにかしら原因があります。

――また、本書からは店の雰囲気づくりへの強いこだわりが伺えました。

内山:「居心地のよさ」というのはすごく大切にしています。ただ、「できるだけたくさん人を入れたい」というのもあるので、そのバランスですね。

たとえばテーブル席を壁際に作る時、テーブルと壁の間は70cmあればいい。それだけあればその間に椅子を置いても人が入れます。椅子と椅子が背中合わせになる場合は、テーブル同士の間は105cm必要です。あまり狭いとお客さん同士が触れてケンカになる可能性があって、このあたりがギリギリなんです。

この他にも、お客さんが入り口から入ってくる新しいお客さんと正対しないように、とか居心地をよくするための設計上の工夫はいくつかあります。顔同士が向き合ってしまうと落ち着かないので。

――「想いを共有している人」と一緒に仕事をすることの大切さについても書かれていましたね。新人を採用する際などは「かぶら屋への想い」をどのように見極めているのでしょうか。

内山:こういうことはなかなか面接だけでは判断できないので、入ってからの教育によるところが大きいです。

将来的にかぶら屋の店舗オーナーをやりたいといって応募してくる人が多いので、かぶら屋の「想い」の部分を共有しておくことは欠かせません。だから入ったらまずは座学で「かぶら屋とはどんな店か」ということを教えていくのがスタートです。

その先のステップはまずかぶら屋の理念的な部分を理解しないと進めません。そのプロセスがないと、独立した後にメニューを勝手に変えられてしまったりということが起きやすくなってしまうんです。

――そうして教育を受けて、一定の水準を満たした人が独立していく中で、うまくいく人とそうでない人にはどんな違いがあるのでしょうか。

内山:不器用な人間の方が成功しているように思います。そういう人ほど、いいと思ったことをやり続ける愚直さがあるといいますか。

ただ、器用な人がダメだという話ではなくて、そういう人は「別にかぶら屋じゃなくてもいいや」となってしまうんですね。かぶら屋のオーナーではなく完全に個人として独立することもあります。もちろんそれでうまくいっている方もいますし。

――最後になりますが「かぶら屋」に限らず、飲食店経営を志す皆さんにメッセージをお願いします。

内山:この本を書くにあたって一番伝えたかったのは、「飲食店をやるにしても“サラリーマンじゃない働き方”をしてほしい」ということです。

飲食店をやりたいと思っているなら、「どこかの会社に入って」と考えるのではなく、ぜひとも自分でやってみるという選択をしていただきたいと思っています。ただ、必ずしも一人でやれということではなく、一人では無理だと思ったら「かぶら屋」と同じような形で独立できるチェーン店に行くのもありだと思います。

とにかく最終的には「経営者」になる道を選んでいただきたいですね。
(新刊JP編集部)

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