親から受け継いだ「港区」不動産で生活、年の半数は海外別荘へ…実は「税金地獄」?

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2017年12月30日 09:02  弁護士ドットコム

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住民の10人に1人が社長とされる東京都港区(東京商工リサーチまとめ)。平均年収の高さが際立っているリッチなエリアだ。IT企業の社長などをイメージしがちだが、30代の主婦・J子さんは、港区で不動産経営をしている知人の話を聞いて、真の勝ち組は彼らではないかと思うようになった。


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知人は、親から港区の不動産を多数受け継ぎ、その関連の収入が相当な金額にのぼるそうだ。「自社ビルの最上階に住んでいて、徒歩圏内の別のビルには、やはり最上階にご両親もいるそうです。見た目は普通の人ですし、分け隔てなく付き合う人です。ただ、年の半分は海外の別荘に暮らしているので、そのお土産をいただく時に、育ちの違いを感じてしまいますね」(J子さん)。


親から受け継いだ不動産をもとに事業を展開して、のんびりリッチに暮らす、といった生活は何とも羨ましいのだが、そのような人たちの税金はどうなっているのだろうか。冨田建税理士に聞いた。


●賃貸収入だけで生活する人は本当にいる?

「働き方は多様ですので一概には言えませんから、あくまで、『このような方もおられるようです』という程度の前提でお話します。


私のお客様にも、親御さんから相続した都内の不動産の一部に住み、他を賃貸して賃貸収入で生活される方が何人かおられました。


賃貸収入だけで生きられるのか?と考えがちですが、ところがどっこい、その方の申告書の収入欄を拝見すると、地道に働くのが空しくなった事が何度か(汗)。


このような方の中には、社会人としても社会に貢献される方も大勢おられますが、賃貸収入だけで食べている方もおられるのは事実ですね。ただ、そのような方も不動産を借りたい人に提供するという貢献はされているわけで、相続で不動産を得たとの羨ましい面はありますが、決して否定される話ではないと思います」


●やはり「相続税」が悩みどころに

不動産経営と聞くと、税金が大変そうなイメージがあるが、税金事情はどうなのか。


「個人に帰属する家賃等に基づく稼ぎは所得税上、不動産所得となり、その毎年の所得税は『不動産収入−必要経費(不動産収入を得るのに必要な経費で家事上の経費と区分できるもの…減価償却費、修繕費等)』に基づき、総合課税という枠の一部として計算されます。なお、この他に住民税等も生じます。


不動産を法人に所有させ、家賃等に基づく稼ぎを所得税ではなく法人税などで納税する方が有利な場合もありますので、必要に応じて税理士と相談すべきでしょうね」


代々受け継いだ不動産となると、相続税の話が大きいのではないか。


「そうなんですよ。多額の不動産ゆえの悩みなのです。


税金は現金納付が原則のため、不動産ばかりあって現金がない場合、借金して相続税を納税したものの資金繰りで家賃収入があっても火の車、という場合もあります。


税金で資金繰りが心配な場合や、既存の税理士が相続に強くない場合、不動産の法人所有による節税等を検討される場合は、早期に専門の税理士に相談し、素直・誠実に対応をされると解決策の選択肢が増えますね。


まあ、私個人はそのような心配とは無縁な環境ですので、今日も地道に働くことにします(笑)」


【取材協力税理士】


冨田 建(とみた・けん)税理士・不動産鑑定士・公認会計士


42都道府県で不動産鑑定業務の経験があり著書「弁護士・公認会計士・税理士のための不動産の法令・評価の実務Q&A」や雑誌・税理士会会報等に数回執筆。公認会計士協会東京会第四回音楽祭で自作曲「ふどうさんのうた」で優勝。


事務所名   : 冨田建 不動産鑑定士・公認会計士・税理士事務所


事務所URL:http://tomitacparea.co.jp/


(弁護士ドットコムニュース)


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