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2018年4月から、有期で働いてきた従業員を無期に切り替える「無期転換」が始まる。これは労働契約法18条1項の規定によるもので、労働者の雇用の安定化を図るのが狙いだ。有期の労働契約が5年を超える場合に、労働者の権利として、無期転換の申し込みができる。
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18条では「(略)申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす」とされており、使用者(雇用主)は申し込みを拒否することはできないと解されている。ただ、この無期転換の申し込みをめぐり、「申し込みをすると、当初の労働条件が固定化され、その後の昇給が見込めないのでは」という懸念がTwitterなどのSNSで散見される。
そもそもずっと無期で働いてきた正社員であっても、賃上げ交渉などをしなければ、昇給されないおそれがあるのは同じだと思われるが、こうした懸念についてどう考えればいいのか。労働問題に詳しい波多野進弁護士に聞いた。
ーー実際のところ、こうした懸念についてどう考えればいいのでしょうか。
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「無期転換の申し込みと労働条件の固定化は関係がないと言えると思います。労働条件は固定的なものではなく、労使の合意で変わるものです。
ただ、一般的には、労使の力関係では圧倒的に使用者の方が強いため、使用者の意思が結果として労使の意思になってしまうことが多いのも実情です」
ーーでは、賃上げ交渉次第では固定化することもあるのでしょうか。
「残念ながら、労働者側からの賃上げ交渉などがうまくいかず、将来的に当初の労働条件が結果として固定化することはあり得ます。だからこそ、通常は個々の労働者では対等な交渉が難しいので、労使対等な交渉を実現するために労働組合の役割が重要になってきます」
ーー無期で働いてきた正社員でも、賃上げ交渉などをしなければ、昇給されないおそれがあるのは同じでしょうか。
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「ご指摘のとおり、もともと期間の定めのない契約の労働者でも当然に昇給など労働条件が改善されるわけではありません。無期転換の申し込みをした労働者も同様です」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
波多野 進(はたの・すすむ)弁護士
弁護士登録以来、10年以上の間、過労死・過労自殺(自死)・労災事故事件(労災・労災民事賠償)や解雇、残業代にまつわる労働事件に数多く取り組んでいる。
事務所名:同心法律事務所
事務所URL:http://doshin-law.com
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