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人気ラーメン店の券売機で「しょうゆ味玉チャーシュー麺」を選び、カウンターに座ると同時に店主に渡す。カウンター越しに覗くと、店主はキビキビとした動きで、器を出し、スープを入れていく。麺も入った。「お、そろそろ来るな」と思った次の瞬間、大事なことに気づいた。本当は券売機で「みそ味玉チャーシュー麺」を選ぶはずだったことを。
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とっさに「すみません。みそを頼もうと思って間違えました」とばつが悪そうに伝えると、店主は「ごめんなさいね。もうトッピングをのせれば完成なんで」。結局、注文の変更は断られた。仕方ないと思って、美味しく「しょうゆ」をたいらげたが、何かが引っかかる。
上記のようなケースでは、民法上、注文を変更できる余地はないのか。変更できるとしたら、スープを入れる前までなのか、それとも…。ラーメン好きの櫻井俊宏弁護士に聞いた。
ーーまず、注文を変更できる余地はありますか
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「本件のようなラーメンの供給契約において、注文した客(買主)が『みそ味玉チャーシュー麺』を頼む内心の意思であるにも関わらず、誤って『しょうゆ味玉チャーシュー麺』を注文する意思を表示した場合には、そもそも、スープの味というラーメンにおいて最も大事な部分(『要素』)について、注文の意思表示に錯誤があると言えます。
よって、民法95条により契約は無効となりえます。そのような場合には注文を変更できることになります。錯誤とは、簡単に言い換えるなら『勘違い』のことです」
ーーまぁいいかと思って食べてしまうと、もう変更は難しそうですね
「もし、錯誤が認められるような場合には、店主(売主)がスープの中に既に麺を入れたことにより、麺にしょうゆ味がついて麺をロスすることになってしまったとしても、さかのぼって契約は無効になるのが原則です。
ただし、本件のようにしょうゆ味玉チャーシュー麺だと気付いて食べてしまうと、しょうゆ味玉チャーシュー麺であることを追認したことになるので、もはや無効を主張できなくなると思われます」
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ーー錯誤があったと主張して認められるのは簡単ではなさそうです
「錯誤があったことを証明する責任は、錯誤無効を主張する客にあります。
そして、錯誤は内心の問題なので、実際に客が『みそ味玉チャーシュー麺』を注文する意思であるとして錯誤があったことを証明できるのは、例えば券売機の前で客が『みそ味玉チャーシューにしよう』と言いながら券売機のボタンを押しているのを他の客が聞いたと証言してくれるような場合等に限られます。
このことから、実際に錯誤無効を主張するのはかなり難しそうです」
(弁護士ドットコムニュース)
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【取材協力弁護士】
櫻井 俊宏(さくらい・としひろ)弁護士
交通事故,離婚・男女問題等を専門としている新宿の弁護士法人アズバーズ代表弁護士。応援団出身であり,中央大学の学内顧問弁護士(法実務カウンセル)を担当している。「弁護士 ラーメン」と検索するとラーメンブログが一番上に出てくる程のラーメン好き。
事務所名:弁護士法人アズバーズ
事務所URL:http://as-birds.com/
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