肉体関係はない「プラトニック」な不倫でも、慰謝料は請求できるのか? 弁護士ドットコムの法律相談コーナーにそんな相談が寄せられた。相談を寄せた女性によれば、「夜に急な外出をし、2時間ほど連絡が取れ」なくなったことがきっかけで、夫のプラトニック不倫を把握したのだという。
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夫を問い詰めたところ、「女友達でお前が思っている関係ではない。悪かった」と弁明したものの、「夫が使っている車を調べたらコンドームや女性からのプレゼントらしいものを見つけ、2人で出掛けた先のレシートや、夫が送ったらしきプレゼントのレシートも見つけました」という。相手は夫の会社の同僚で、配偶者もいるようだ。
夫の車に「ICレコーダーを仕込んだところ、毎日帰宅時間を偽って、1時間ほど電話をしている」ことも判明した。しかし、肉体関係を立証できる証拠は入手できていない。
「手繋ぎやキス、もしくは、本当にプラトニックな場合、慰謝料請求はできないでしょうか? プラトニックで慰謝料請求ができない場合、相手女性への警告、相手女性の夫や親への通知、夫の職場への通知はしても構わないでしょうか?」と質問している。
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肉体関係がない浮気でも、慰謝料請求できるのか。山岸陽平弁護士に聞いた。
「裁判所が性行為や肉体関係の有無をかなり重視していることは確かです。
しかし、裁判例を詳しく見ていくと、性行為や肉体関係そのものがなくても、慰謝料の支払いを命じた判決もあります。肉体関係がなくても、婚姻共同生活の平和が破壊されるような異性間の交流・接触が行われた場合には、配偶者の権利を侵害した『不法行為』の成立が認められるからです。
ただ、ケースバイケースです。逆に、請求を退けた判決もあります」
性交渉がなくても、不法行為が認められるケースとは、具体的にどのようなケースだろうか。
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「性交渉そのものがなくても不法行為の成立が比較的認められやすいと思われるのは、キスや抱擁など過度な身体的接触を伴う場合や、強い愛情表現を伴う言動が相互に続いているような場合でしょう」
慰謝料の金額はどうか。肉体関係がないと少なくなるのか。
「これもどのような実態があったかによりますが、肉体関係がない場合、慰謝料としては認められても数十万円程度にとどまりやすいという相場観を持っています。長年にわたる肉体関係があり、かつ離婚する場合には、150万円から300万円程度になるので、それに比べれば、金額は少ないとも言えます。
慰謝料の金額は、不法行為の内容と、夫婦関係に及ぼした影響の度合いによって決まります。仮に肉体関係のない浮気が発覚したことで、夫婦関係が破綻したとしても、夫婦関係破綻の全責任を浮気相手に負わせることは困難です」
今回の相談者は、相手や職場に知らせたいとの希望を持っているようだ。
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「今回の相談者に限らず、配偶者の不貞が発覚した方からは、『交際をやめさせたい』、『謝罪をしてほしい』、『責任をとってほしい』という発想を持つ方も多いように思います。しかし、浮気相手に警告をする際には、脅迫にあたらないよう、表現や方法に気をつけるべきです。
また、浮気相手の配偶者や親への通知、職場への通知は、問題解決のために逆効果になりやすい上、不法行為に該当するおそれもありますので、避けるべきだと思います」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
山岸 陽平(やまぎし・ようへい)弁護士
金沢弁護士会所属。富山県南砺市出身。京都大学法学部卒・京都大学法科大学院修了。弁護士のほか社会福祉士資格を有し、福祉・医療サービスをめぐる法律問題に関心が強い。離婚、男女問題、相続、成年後見、交通事故、不動産事件、インターネット関係問題など、地域の困りごと解決を幅広く手掛けている。
事務所名:金沢法律事務所
事務所URL:http://bengokanazawa.jp/
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