<いつまでも元気なのはいいけれど、人間関係のトラブルや感染症に赤信号>
1960年代――性に関するマインドがオープンになったこの時期に青春時代を過ごしたかつての若者たちは、いまだに情熱冷めやらぬ「性活」を送っているようだ。
先ごろ、コンサルティング会社センサスワイドがイギリスの2000人以上の65歳を対象に実施した調査で、彼らの性に対する貪欲な姿勢が浮き彫りになった。これによると、回答のあった80人のうち、満足のいくセックスライフを送っているのは6人に1人だけ。52%以上が現状に満足していないと答えた。
さらに興味深いのは、年金の受給を開始した65歳から性的関係にあるパートナーが複数いるという傾向だ。回答者の3割が、65歳になってから新しいパートナーと関係を持ったという。出会いの手段で欠かせないのはデートサイトだ。過去10年で65歳以上の3人に1人がウェブサイトやアプリなどオンライン経由で新たな出会いとパートナーを得たことがわかった。
高齢者の生活を支援する団体「インディペンデント・エイジ(Independent Age)」のディレクター、ルーシー・ハマーは、この調査は老後の人生におけるセックスへの「思い込み」に切り込んだと評価している。
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高齢者にとって「ロマンスを感じる繋がりを持つことは、仲間を持つのと同じくらい大切なこと」で、「親密な繋がりは高齢者の孤独という問題に対処するポイント」と言う。親密な関係にあるパートナーがいるということは、感情的に救われる。寂しさを和らげ、人生の困難を乗り越える助けになる。
性感染症の予防ができていない人も
しかしながらハーマーは、年を取ってからの「性活」の危険性も指摘する。「セックス、デートといった人間関係は複雑になるし、年寄りになると歯止めが効かない」と話す。調査からも、65歳以上の約10%は、新しいパートナーとの初めての性行為で感染症の予防ができていない実態が明らかになっている。
前出の「インディペンデント・エイジ」は、そんな高齢者に向けて、安全なセックスライフを送るためのアドバイスを提供している。初めて同性と関係を持つケースにも対応している。
男性と女性ともに健康寿命が伸びる現代。2016年、イギリス国際長寿センター(ILC)の調査によると、85歳以上の男性の4人に1人、女性では10人に1人が活発な「性活」を送っていると報告されている。パートナーとの親密な繋がりは精神衛生上とても大切なものだが、「歯止めが効かない」ことで健康を害さないよう注意も必要だろう。
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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
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