「同性カップルの婚姻の自由」米国で勝ち取った「ゴッドファーザー」弁護士の軌跡…3月13日講演

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2018年03月04日 11:02  弁護士ドットコム

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アメリカの最高裁がすべての州での同性婚を認めたのは、2015年6月のこと。その立役者の1人でもある米国人弁護士、エヴァン・ウォルフソン氏が来日し、3月13日、東京・霞が関の弁護士会館で講演する。


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主催の第二東京弁護士会「両性の平等に関する委員会」副委員長の花田さおり弁護士、「LGBTとアライのための法律家ネットワーク」(LLAN)共同代表の藤田直介弁護士、LLANの田中太郎弁護士に話を聞いた。


●「婚姻の自由のゴッドファーザー」

来日するウォルフソン氏は、日本ではあまり知られていないが、LGBT分野で世界的に有名な弁護士でもある。ハーバード・ロースクールの学生時代に、「婚姻の自由」が異性愛者にしか認められないのは憲法違反であるとの認識を抱いて以後、様々な活動を続けてきた。


藤田直介弁護士は、ウォルフソン氏の功績について「最高裁判決を勝ち取るまで、33年間にわたり、世論を変えようと活動を続けた。最高裁判決が出たあとも、オーストラリア、イギリス、台湾など世界中で支援活動を行っており、『婚姻の自由のゴッドファーザー』と呼ばれています」と、話す。


3月13日の講演会で上映される、アメリカでの同性婚最高裁判決に至る道のりを描くドキュメンタリー映画「The Freedom To Marry」(2016年公開)には、ウォルフソン氏も登場する。


この作品は残念ながら、日本で劇場公開されることはなかった。「婚姻の自由が得られないことでカップルが直面した壁や、世間の理解を得られない場面、宗教的な反対など、アメリカの同性カップルたちに迫ったドキュメンタリー映画です」(藤田弁護士)


この日の上映を通して、「愛する人と安定した関係を築きたいという人間の根源的な感情、そしてそうできないことによるカップルたちの困難・苦しみについて、会話をするきっかけにして欲しい」(藤田弁護士)という狙いがある。


●憲法24条の1項「両性」は「同性間の婚姻を否定するものではない」

アメリカ以外にも、世界中で同性間の婚姻を容認する動きは広がっている。ドイツ、オーストラリアで法案が可決され、台湾でも17年5月に2年以内の立法措置を求める裁判所の判断が示された。オランダ、ベルギー、スペイン、ノルウェー、スウェーデンなど、ヨーロッパでは同性婚を認める国が大半だ。


日本で、同性間の婚姻が実現する日はくるのだろうか。


田中弁護士は「憲法24条の1項にある『両性の合意のみに基づいて』の『両性』が争点となっている」と指摘する。憲法24条1項は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と定める。


「憲法の『両性』とは、男性と女性を指し、同性カップルは含まれないと反対する人もいる。しかし、『両性』という文言が採用されたのは、戦前の家父長制から脱却し、両当事者の合意のみで結婚ができることを明らかにしたのみであって、同性間の婚姻を否定するものでは決してない」との見解を示す。


「米国では宗教的な価値観からの反発があったが、日本ではそれはない。ただ、日本に限らず、どの国でも伝統的な婚姻制度という観点からの反発はあった。日本では、まずLGBT・同性カップルについて知らない人がまだ多くいることが最大の課題。知って、対話することがまず大事」(藤田弁護士)


●「好きになる性別が違うだけで、愛が保障されないのは、おかしい」

同性間の婚姻に積極的に反対する人でなくても「パートナーシップでいいのでは」「なぜ法的な婚姻にこだわるのか」と素朴な疑問を呈する人もいる。


これについて藤田弁護士は「人を愛する気持ちは誰もが同じように抱く自然な感情。愛する者同士の安定的な関係を制度的に保障したのが婚姻制度。相続、親子関係など、結婚にともなう様々な権利を同性カップルに否定することを合理的に説明できるのか、映画を通じて是非考えてほしい」と指摘する。


また、田中弁護士も「私もゲイの当事者として、誰かと結婚できないのは、おかしいという思いがある。好きになる性別が違うだけで、同性愛者の気持ち、愛が保障されないのは、根本的におかしい。国が同性婚を認めないことが、社会的に悪影響をあたえる要因になっている。それを取り除くことが、同性愛が社会に溶け込む一歩になるのではないか」と話す。


「この問題について、日本ではまだ社会的な認知度は高くないので、まずは認知度を高めることが、大きな一歩になるのかなと考えている」(田中弁護士)。そのための「対話」を促すことが、今回の講演会の狙いでもある。


●3月13日、弁護士会館にて開催

イベントは3月13日、「LGBTと婚姻の自由」をテーマに、東京・霞が関にある弁護士会館で開催される。弁護士のほか、一般の来場者も無料で入場できる。当日は、アメリカでの同性婚最高裁判判決に至る道のりを描くドキュメンタリー映画「The Freedom To Marry」も上映される。


【イベント詳細】


日 時:2018年3月13日(火)午後1時〜午後3時


場 所:弁護士会館(東京都千代田区霞が関1丁目1番3号)10階1003号室


講 師:エヴァン・ウォルフソン氏(弁護士、Freedom to Marry創設者)


参加費:無料(一般の方も入場できます)


主 催:両性の平等に関する委員会、LGBTとアライのための法律家ネットワーク


申し込み:「第二東京弁護士会」まで。詳細はこちら→(http://niben.jp/news/ippan/2018/180126135338.html)


(弁護士ドットコムニュース)


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