トランプ不人気でバイデン大統領の現実味

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2018年03月06日 15:52  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<次期大統領への意欲をちらつかせる前副大統領の本気度と現職大統領の勝算>


民主党のバイデン前米副大統領が20年の次期大統領選で、立候補の可能性に含みを持たせていると、2月18日にAP通信が報じた。まだ決断に至っていないが出馬を検討している、とバイデンが外交政策担当の側近らに直接語ったというのだ。


オバマ前大統領の下で8年にわたって副大統領を務めただけに、その知名度は抜群。73〜09年に上院議員を務めており、政治経験も豊富だ。


共和党員ながらトランプに批判的で、彼から「負け犬」呼ばわりされたベン・サシ上院議員は、16年の大統領選でバイデンがドナルド・トランプ候補と戦っていたら、バイデンが「地滑り的勝利を収めていただろう」と、トランプ政権発足から間もない17年4月に認めていた。


民主党全国委員会のエド・レンデル元委員長も17年12月、バイデンを「私たちのスーパースター」と称賛。「今度彼が出馬を決断すれば、(トランプに)圧勝するだろう」と語った。


ただし、バイデン勝利の確率についてそれほど楽観視していないのがオッズメーカー(賭け屋)だ。賭けサイト「ベット365」は、バイデンよりも当選確率が高い候補者6人を予想している。


なかでも最有力候補は現職のトランプ。ほかにも共和党からはペンス副大統領、民主党からはエリザベス・ウォーレンやカマラ・ハリス、バーニー・サンダース、キルステン・ジルブランドといった上院議員4人が挙がっている。


だがCNNは18年1月時点で、トランプの支持率は彼ら上院議員やバイデンに及ばないとの世論調査を発表。バイデン対トランプの決選となった場合は有権者の支持率が57%対40%、サンダース対トランプでも55%対42%で、トランプが不利となっている。


ネックになるのは高齢?


バイデンは88年の大統領選に立候補を表明したが、民主党の予備選でマイケル・デュカキス候補に大敗。08年の予備選にも敗れ、オバマ候補の副大統領候補に指名された。16年の大統領選に際しても民主党内でクリントン元国務長官やサンダースなど強敵との激戦が予想されていたなかで、立候補の意欲をほのめかしながら撤退した。


20年の大統領選に出馬した場合、問題となるのが年齢との戦いだ。


決選が行われる20年11月3日にはバイデンは77歳で、同月20日には78歳を迎える。史上最高齢の大統領であるトランプでさえ、決選時点で74歳だ。ちなみにサンダースはその頃79歳と、さらに高齢だが。


実際、2月上旬にNBCのインタビューで、バイデンが立候補すれば民主党の若くて有望な候補者の中に「暗い影を落とす」ことにならないかと問われた。バイデンは、自分の最優先課題は民主党の議席数を増やすことだと口を濁した。


だがたとえバイデンが出馬してもしなくても、トランプは安心してはいられない。ギャラップ社の最新世論調査では、支持率はわずか37%。不支持率は59%と、近年の大統領の1期目としては極めて悪い数字が出た。


しかも過去7回の大統領選のうち、一般投票数では共和党候補が民主党候補に6回も負けているという事実も、トランプにとっては気味の悪い材料だ。


一方で、92年にジョージ・ブッシュ大統領がビル・クリントン候補に敗れて以来、現職大統領の敗北はない。20年はトランプよりもバイデンにとって厳しい年になるかもしれない。


<本誌2018年3月6日号掲載>


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ボビー・イリッシュ


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  • 取り敢えず「政治家」ではない「経営者」のトランプが、数年経って辞めた後の自分の経営にとって支障がないような法律作りを完了する前に潰した方が米国の為になる。
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