国内にいるのに時差ボケ?日本人に増えている「社会的ジェットラグ」とは

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2018年03月20日 12:01  QLife(キューライフ)

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一貫して減少を続ける日本人の睡眠時間


国立精神・神経医療研究センター 三島和夫先生

 NHK放送文化研究所の「国民生活時間調査」によると、日本人の睡眠時間は一貫して減少傾向にあり、「戦後70年で1時間短くなった」と言われています。この「1時間」という数字、OECD加盟国の15才以上の睡眠時間データでも、全加盟国平均が8時間25分であるのに対し、日本人が7時間22分であることとも合致します。

 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所・精神生理研究部部長の三島和夫先生は、この「1時間」を「潜在的睡眠不足」だと言います。こうした睡眠不足と「内的脱同調(生体リズムと睡眠時間帯のズレ)」によって生じるのが、近年注目されている「社会的ジェットラグ」です。武田薬品工業株式会社は、春の睡眠健康週間(3月11〜25日)中の3月16日に都内でメディアセミナーを開催。三島先生が、「日常生活に潜む社会的ジェットラグ問題」について講演しました。

「毎週末アジア旅行」と同じ社会的ジェットラグ

 社会的ジェットラグの定義について、三島先生は「個人の体内時計(生体リズム)にマッチしない社会時刻(生活スケジュール)を強いられることによって心身の不調が生じる状態」といいます。例えば、

 平日:深夜0時に就寝、午前6時に起床
 休日:深夜2時に就寝、午前10時に起床

といった、「平日は睡眠不足で休日に“寝だめ”」なライフスタイルを送っている方も多いかと思います。このような平日と休日の睡眠中央値の差などをもとに計算されるのが社会的ジェットラグの計算法です。上記の場合、平日の睡眠中央値は午前3時、休日の睡眠中央値は午前6時となり、3時間の社会的ジェットラグが発生してるといえます。「日本とタイの時差は2時間、インドだと3〜4時間です。つまり社会的ジェットラグを抱えている人は毎週末にアジア旅行に出かけているようなものです」(三島先生)

社会的ジェットラグは生活習慣病やメンタルヘルスと関連も

 「社会的ジェットラグは糖代謝や血圧調整に悪影響をもたらすだけでなく、短期的にはメンタルヘルスの悪化、中長期的には気分障害や認知症の発症リスクを高めてしまいます」と三島先生。しかし、社会的ジェットラグは「なんとかやり繰りできる」程度のため、睡眠習慣を抜本的に見直さず、長期化してしまう懸念があります。

 社会的ジェットラグから脱却するために、三島先生は「週末の“寝だめ”を抑えることから始めましょう」と語ります。定時に目覚める習慣をつけ、休日であってもいったん起床し、睡眠不足がある場合は午後に30分以内の短めの昼寝を、とのこと。「社会的ジェットラグは自身の体質にマッチしない社会時刻を強いられたときに生じやすいことがわかっています。個人が社会に合わせる努力も大事ですが、個人差を尊重して社会が個人に寄り添う対応も必要ではないでしょうか」(三島先生)。

 まずは自分がどのような睡眠習慣か知るために、2週間程度、起床時間と就寝時間の記録をつけてみてはいかがでしょうか。(QLife編集部)

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