将来にどう影響? 幼少時に「自制心」を育む方法

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2018年04月25日 15:00  citrus

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■スタンフォード大学の「マシュマロ実験」で分かったこと

 

「マシュマロ実験」という心理学の実験があります。40年以上前に行われた研究でありながら、子供の自制心研究の先駆けとして、今なお引用され続けています。「マシュマロ実験」という愛らしいネーミングもあり、聞いたことがある方もいるのでは?

 

その実験の概略はというと……。

4歳の子の前にマシュマロを1つ置き、「今、食べるのなら1個」「20分待てたら2個」と伝え、教室にその子を1人残し、どちらを選ぶかを観察しました。186人の子供たちにこれを試した結果、3分の2の子はマシュマロを食べ、3分の1の子が食べずに待っていました。4歳の段階で自制心にこれだけの差があるということです。そしてその後、そのメンバーが22歳のときと45歳のときに追跡調査を行ったところ、4歳のときの自制心の傾向は、大人になっても続いていることが分かったのです。しかも、マシュマロを食べた子よりも、食べなかった子の方が、学業成績が良かったことも!

 

頭の良さといえば、真っ先に思いつくのがIQです。しかし、最近の研究で分かってきたのは、その子の成績をより正確に予測できるのは、IQ以上に、自制心だということ。「ならば!」と自制心アップを図りたいと思う親御さんも多いと思いますが、実際に育児のなかで自制心を育むことは可能なのでしょうか?

 

 

■自制心の育みには2つのステップがある

 

まず知っておきたいのは、自制心には、2つの方向性があり、よって働きかけも2種類あるということです。1つめは、先の実験のような「誘惑を我慢する」というタイプの自制。これは、比較的やり易いのではと思います。その「魅惑的なもの」を遠ざけることで、自制が可能だからです。実際に、マシュマロを我慢した子供たちもこの方法を取っていました。魅惑的なマシュマロを視界に入らないように工夫しながら、その20分を過ごしたそうです。この方法は、子供が好きな「チョコレート」「スナック菓子」「ゲーム」「テレビ」などに適していると言えます。

 

2つめは、「やりたくないことでも腰をあげて取り組む」というタイプの自制です。こちらの方が、1つめよりも難しいのではと思います。たとえば、ダイエットで「甘いものを断つ」「筋トレを20回ずつ」と2つの目標を掲げたとしましょう。前者の目標は1つめの「誘惑を我慢するタイプ」、後者は2つめの「奮起して腰を上げるタイプ」です。どちらが取り組みやすいでしょうか? 甘いものを断つのは、「バッグにお菓子を入れない」「スーパーで買わない」「辛いときは○○を食べてしのぐ」などの対処がとれます。一方の筋トレはどうでしょう。腹筋、腕立て、背筋などを地味にコツコツやるのって、意外と難しいものです。「今日は疲れているから」「時間がないから」とあれこれ理由をつけて早々に脱線というパターン、大人だってよくやってしまいます。

 

 

■自制心の育みは踏ん張れる力がポイント

 

バランスのよい自制心を育むには、我慢させるだけではダメで、「いざというときに踏ん張れる力」を養うことがポイントだと思います。なぜなら、子供がゲームやテレビを我慢したからといって、それで自動的に宿題をやるわけではありません。「いやだな」「面倒だな」「遊びたいな」と思っても、奮起して宿題を始められる自制心こそ必要なのです。実際に、先の実験の続きで、自制心が高く成績も良い高校生は、

 

  • 宿題にしっかりと時間をかけられる
  • 朝早くから行動できる
  • 学校を欠席することが少ない

 

などの傾向があることも明らかになっています。要は、自分の1日をデザインし、自ら動ける力こそ、バランスの取れた自制心の現れなのですね。

 

 

■自制心の育み、やり過ぎは逆効果に

 

ではこの力をどう身につけさせていくか? 小さいうちは、やはり親がリードしていく必要があるでしょう。子供自ら、「好きなゲームを止め(我慢のプロセス)、宿題に取り組む(腰上げのプロセス)」という2ステップは難しいからです。しかし、これを実現させようと親が躍起になって、子供を過度に管理してしまうのは逆効果。幼少時、過度にスケジュール管理をされて育った子は、将来、大成しにくいというデータもあるくらいですから、子育てには、ある程度の自由度も必須です。特に、この記事『「いい子症候群」に陥らないために親ができること』で書いた「いい子気質の子」は、もともと自制力が強いタイプなので、親があれもこれも管理してしまうことで、自制心が強くなり過ぎて、将来、我慢し過ぎたり、弱音を吐けなかったりしてしまうということもありえます。

 

なので、自制心の育みはアリか、ナシかと言われれば、「アリ」ですが、全ての子に同じように働きかけてしまうと、効き過ぎてしまうということがあるので、その点は注意する必要があります。基本的に、自制心は成長とともに整っていきます。赤ちゃんよりも子供、そして子供よりも大人の方が、少なくとも我慢強いものですし、自制が効きます。だから、今、赤ちゃんを育てている方で「泣いてばかりで心配」、幼稚園や保育園の子を育てている方で「自分勝手で我慢が効かない」と、この先の不安を感じる方もいるかもしれませんが、実際には、その子が大人になるまでに、ある程度の自制心は磨かれていくので過度に心配することはありません。

 

 

■日々のリズムを作ることが将来の自制心の基盤に

 

これらを踏まえると、幼少時の自制心育成にもっともふさわしいのは、きちんとした生活習慣を身につけさせることです。これなら「いい子気質の子」にもやり過ぎにはならないし、「我慢ができない子」には自制心の軌道を作ってくれます。「朝、眠いけれど決まった時間に起きる」「夜は20時に就寝する」「宿題は先に片づける」「ゲームは決まった時間だけ」というリズムある日常の中で、子供たちは数々の“我慢”や“奮起”に出会い、学んでいってくれます。

このニュースに関するつぶやき

  • 親が自制心を持たなきゃ何にもならない。子を行政に保護される様な親の、そのまた親の話を聞いたら成る程な、と思う事だらけ。
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