「おしゃれと恋で もっとかわいく」、逆に言えば「アンタらの頭にはおしゃれと恋しかないんかい!」とのコンセプトを基に、ファッションや恋愛の情報を配信するメディア『ハウコレ』で、珍しく(?)「そりゃ言えてるかも…?」と、わりに納得できるコラムを発見した。
『絶対NG!「楽しいことが好きです」という自己紹介は出会いを遠ざけます』なるタイトルで、
恋愛アプリなどを使っていると女性のプロフィール欄に一定の確率で現れる言葉があることに気づきます。それが「楽しいことが好きです」「美味しいものを食べるのが好きです」という文章です。
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……といったリード本文を冒頭とし、女性読者に向けて以下のような警鐘を鳴らしている。
この二つの文章を書いている人に共通していることは、プロフィールの中身がびっくりするくらい薄いということです。そしてよっぽど美人かスタイルがいい人でなければ、男性からの「いいね」もほとんど集まっていないことも共通しています。
(中略)この世の中に、楽しいことが嫌いな人、美味しいものを食べることが嫌いな人はほとんど存在しません。
(中略)楽しいことがしたい、美味しいものを食べたい、くらいしかプロフィールに書けない人は、おそらく他に自分の好きなものが何なのかわからない人なのだと思います。
(中略)好きなものがある、という事実はその人を何倍にも魅力的に演出してくれます。それが何かのオタクであったとしても、そういった自分にしか語れない「好きなもの」がプロフィールに書かれていると、この人と喋ってみたいな、会ってみたいなという気持ちが湧いてくるのです。
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要は、
「自分を表現する枠組みをよりハッキリと(=具体的に)明確化し、その枠組みの外へと弾き出された人は切り捨てる覚悟をもった自己紹介をせよ」
……ってことなんだろう。たとえば「美味しいものを食べるのが好き」ならば、あと一つ深度を高め、「美味しい鰹のたたきを食べるのが好きです」だとか「美味しいカツカレーの食べ歩きが趣味です」……などとカスタムアップし、鰹のたたきやカツカレーに刺さらない人たちは「縁がなかったということで…」と、見方によっては“選ばれる側から選ぶ側”へとも転じる作戦だ。
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たしかに、外見で際立ったモノがない男女にとって、この「出会いの量より質を取る自己紹介」が、かなり有効であることに間違いはない。我々文筆界でも、
「楽しい」「美味しい」「かわいい」「きれい」「すごい」「素晴らしい」
……をはじめとする、ふわっとした形容詞をいたずらに多用する原稿は、総じて「駄文」のレッテルを貼られてしまう。私の友人である某高スペック企業に勤めるイケメン30代男子も、合コンで女子メンバーがイマイチなときは「楽しいことが好きです」と、ハイクオリティ揃いなときは「野球をやるのも観るのも好きです」と、自己紹介を巧みに使い分けたりしている。こういう裏事情を知っている者からすれば、まことにもってわかりやすい駆け引きの術(すべ)である。
私の場合は、自己紹介に「今年で満56歳」の実年齢を入れただけで、充分すぎるほどに“目の細かい振るい”として機能する。そして、申告した時点で「えー!? お父さんより年上なんですけど〜」と、やみくもに引いてしまうだけの女子は……正直、あまり深い付き合いをしたくはない。私は原則として、私に年齢の壁を越えた部分で興味を示してくれる女子にしか興味を示すことができないのです。