『てのひらに秘密をひとつ』(尾崎衣良)何かと話題な“不倫”がテーマ!シリアスな展開が見せるある種の因果応報に痛いほど共感……

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2018年05月07日 22:01  おたぽる

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おたぽる

『てのひらに秘密をひとつ』/尾崎衣良

 華山みおです。言わないだけで特に秘密もない女です。



 隠し事とか嘘って苦手! なんでも顔に出ちゃいます。だから私には多分できないでしょうね。世間的にも常々話題になる“不倫問題”。



 本日レビューする漫画・尾崎衣良作『てのひらに秘密をひとつ』は不倫がテーマ。あなたは不倫について、どう考えますか??



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作品紹介小学館公式サイトより引用)




 「深夜のダメ恋図鑑」の尾崎衣良による、新たなる傑作。
 「不倫」をテーマにすえながら、みずみずしく恋情を描ききる長編シリーズの開幕です。



 1巻収録の作品は、
第一話・・・「自分のしたことって自分に返ってくる」と思う沙季の話。
第二話・・・夫がセックスをしたがらない、セックスレスの一絵の話。
第三話・・・第一話に出てきた"いじわるなマミちゃん"のアザーサイドストーリー。



 大人の恋は、からまり、もつれ、途切れる。
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 TVドラマ『昼顔』が大ヒットしたことは記憶に新しいし、最近では芸能人の不倫スキャンダルに世間は興味津々ですよね。単純なフィクションとしてや、自分の身の回り以外のゴシップとして話を聞くのなら、不倫は刺激的な話題かもしれません。



 だけど本当に自分の身の回りに起こったら笑いごとではすまされないですよね……。



 付き合っていた人が既婚者だったら? 友達が不倫してたら? 旦那が不倫していたら? どれも悲しい結末しか見えないし、誰もが傷を負います。それなのに、どうして不倫の文化ってなくならないんでしょうか。



 今作の主人公・出水沙希のモノローグ「昔から、誰かに好かれたことなんてなかった。周りが恋人や友人と楽しく過ごしている中で、あたしはアレかの「特別」になったことなんてない。あたしは、どうしたら愛される人間になれるんだろう」が刺さりました。



 そんな気持ち故に、誰にでも親切にする沙希。自分のしたことが自分に返って来ると思って行動する気持ちは、とっても分かります。だから、なるべく良い人でありたいと思ってしまいます。



 けど、過去の自分の過ちとか、失敗って周りは知らなくても自分は知っているから、何か悪いことが起こったとき、「ああ、あのときの報いはこれか」って思ったりするんですよね。



 正直、不倫関係のことについては同意も出来ないし共感もないのですが、この気持ちだけは痛いほど共感してしまった……。



 恋バナって聞いている限りでは楽しいものなのですが、自分が渦中にいると辛いし冷静な判断なんて下せないし、迷って焦ってどうにもならなくなりますよね。人間同士が本気で向かい合うのだから当然なんですが、辛い恋の話とか、小さな頃みたいに憧れとかドキドキだけしては読めないんですよね……。私だったら……とお得意の自己投影で一緒に辛くなってしまいます。



 全体を通して、女性キャラの心理や行動は理解できる、と思う部分はあって、納得もできるのですが、男性キャラにリアリティが薄い気がしました。こういう話にしたいから、男性キャラにはこう動いてもらわねばならない、故にこんなキャラだよ、といった印象です。女性キャラが人間のドロっとしたところを描写しているので、男性キャラが全体的にツルっとしているからそう思っただけかもしれませんが。
 
 浮気も不倫も恋愛のゴタゴタは、漫画の中だけで覗き見して、現実では幸せな恋愛がしたい!!!! 読了後、強くそう思ったのでした。
(文=華山みお)


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