『ヲタクに恋は難しい』なぜ賛否両論に? 『3D彼女』『ネト充のススメ』ヒロインと比較して考える

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2018年05月24日 10:02  リアルサウンド

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 『ヲタクに恋は難しい』(フジテレビ)、『3D彼女 リアルガール』(日本テレビ)といった、いわゆる“オタクの恋愛”を描いた作品が目白押しとなっている春アニメ。そんな中『ヲタ恋』は、日常ラブコメ作品としてはやや珍しく、SNSを中心に賛否両論が巻き起こっている。多数の漫画大賞を受賞した人気コミックスが原作で、アニメ版にももちろんファンが多い本作。しかしその反面、Twitterのキーワード検索で「ヲタ恋」と打ち込むとネガティブなワードもサジェストされてしまう。本作の評価がここまで極端なのは、一体なぜなのだろうか。


 BL好きの“腐女子”でありながら、それを周囲に隠して一般人に“擬態”している主人公のOL・桃瀬成海と、重度のゲームオタク・二藤宏嵩の恋愛模様を描いた『ヲタ恋』。原作は「このマンガがすごい!2016」“オンナ編”で1位に輝くなど、とりわけ女性人気が高いことがうかがえる。


 そんな人気作品『ヲタ恋』への批判としては、まず本作がオタクへのマウンティングではないかという声が見られる。成海と宏嵩はオタクであるものの、物語序盤でカップルになり、職場での人間関係もうまく構築している。そのため、「彼らは結局リア充じゃないか、こんなのオタクじゃない」という否定意見が出てきているのだ。


 だが、ファンを見ていると、キャラに自己投影したりリアリティーを求めたりするというよりも、あくまでもフィクションとして純粋に作品を楽しんでいる層が多い印象だ。つまり、「(自身が考える)オタクのリアリティーを作品に求めるか否か」が、本作の賛否が割れる1つの理由なのだろう。


 もう1つ、アンチ『ヲタ恋』勢から顕著に見られるのが、ヒロイン・成海への批判だ。成海批判の内容は多岐に渡るが、特に第1話での「(自分はオタクだが、交際相手として)オタクはキモいから嫌だ!」という発言への反発が大きかったように思う。いくらフィクションといえども、このセリフにグサリと心をえぐられた視聴者が多いことは十分頷ける。


 こう見ると、オタク向けにオタクの恋愛を描くことはセンシティブなようにも感じられる。だが、今期の『3D彼女』や昨年放送された『ネト充のススメ』(TOKYO MX、読売テレビ)のように、さほど批判を集めていない類似テーマ作品も多い。この差は一体なんなのだろうか。


 『3D彼女』は高校生の恋愛を描いていることもあって『ヲタ恋』とはかなり前提が異なる。さらにラブコメとしての“王道感”、“ザ・少女マンガ的世界観”が強いため、そもそもリアリティーを求める余地がほとんど用意されていない。そのため、非現実的な展開にツッコミを入れる視聴者も少ないのだろう。


 また、登場人物、特にヒロイン・五十嵐色葉は誰もがうらやむ美人だが、当初は主人公・筒井光にも“ビッチ扱い”されるなど、周囲から勘違いされることも多かった。一見勝ち組のように見える彼女だが、作中で短所や気苦労も多数描かれ、共感や同情を生みやすくなっている。そのため、批判的な声が上がりにくくなっているのではないだろうか。


 同じく、『ネト充のススメ』の主人公・盛岡森子も、美人でスタイルが良く、仕事の能力値も高いのだが、現在は30歳無職、恋人はおろか友達も少ないネトゲ廃人だ。どちらかといえば残念要素の方が勝っている。


 色葉も森子も基本値は高いのだが、彼女たちからは共通して“人生イージーモード感”が発されていない。それと比較すると、『ヲタ恋』の成海は過去の恋愛で手痛い経験をしてきたとはいえ、作中では比較的器用に身を振っているため、やっかみも受けやすいのだろう。


 このように、一部批判的な意見も見られる『ヲタ恋』だが、その分注目度が高いともいえる。実のところ、筆者もあまり成海には共感できないクチなのだが、ファンとアンチ、双方の意見を見ていても大変興味深い。『ヲタ恋』は、様々な議論が生まれる作品としても評価できるのではないだろうか(まにょ)


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  • いや。「(自分はオタクだが、交際相手として)オタクはキモいから嫌だ!」って言い切る奴実際にいたよ。
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