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トランプ政権から歓待を受けた金正恩の右腕、金英哲の黒い経歴

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2018年06月01日 15:22  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<工作機関トップ時代には、韓国哨戒艦への水爆攻撃や延坪島砲撃も指示したとみられるが、米朝首脳会談を前に今やセレブ扱い>


米朝首脳会談の開催に向けて、マイク・ポンペオ米国務長官と北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長が5月30日からの2日間、ニューヨークで会談を行った。


金英哲は、北朝鮮工作機関トップの軍偵察総局長を務め、2014年にソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントの個人情報が流出したハッカー事件など、近年注目された北朝鮮の軍事作戦を指揮していたとみられる。


いわばテロ国家の黒幕だが、金正恩が対話路線に急ハンドルをきった平昌冬季五輪以降は、しばしば金の代理として表舞台に姿を表すようになった。今回初めて訪ねたニューヨークではポンペオが満面の笑みで出迎え、固い握手を交わすなどVIP並みの待遇を受けた。


核兵器のやりとりをしている割にはどこか現実離れして、滑稽な光景だった。金英哲は6月1日には急きょワシントンに飛び、ドナルド・トランプ大統領に直接金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の親書を手渡すという。


北朝鮮高官の米訪問は18年ぶりで、米国務省によると、初日の30日はヒレステーキやバニラアイスを食べながらの夕食会形式で、翌日31日午前は正式な会談形式で協議が行われた。


2人が個人的な信頼関係を築ければ、北朝鮮の非核化を協議する米朝首脳会談の開催に向けて重要なステップになる、と専門家は見ている。


外交、情報関係者によると、金英哲は北朝鮮の「舞台裏」で最も有力な人物で、体制維持の先頭に立っている。金英哲が対米外交の表舞台に出てきたことは、金正恩を中心に動いている北朝鮮のなかで、特別な影響力を持っていることを示している。


現在73歳の金英哲は、北朝鮮の親子3代の金王朝に仕えてきた。金正恩が最高指導者となった2011年以降は、政権の最高レベルで多くの政敵たちが粛清で命を落とすなかを生き延びてきた。


「最高指導者となった金正恩は数百人を粛清したが、金英哲はそれを生き抜いただけでなく金正恩の右腕になった」と、元CIA分析官で現在シンクタンク「戦略国際問題研究所」のコリア部門シニアフェローを務めるスー・ミ・テリーは話している。「(金英哲は)金正恩を代弁することができる。そんなことができる人物は、他にいない」


金英哲は2009〜2016年、北朝鮮の工作機関でサイバーセキュリティーも担当する軍偵察総局のトップを務めた。その間、西側に対するサイバー攻撃や韓国への軍事攻撃に関与したと見られている。2012年に韓国で活動している北朝鮮のスパイネットワークが一斉逮捕された時には、短期間、降格させられたと言われているが、その後「復権」した。


元CIA分析官で現在ブルッキングス研究所のシニアフェローを務めるジュン・パクによると、金英哲は最高指導者となる金正恩の指導役を務めたという。「軍偵察総局は特に金正恩の指導役として非常に重要な存在で、そこで7年間局長を務め、金正恩の信頼を得たことから見て、金英哲は十分に職務を果たしたということだろう」


局長在任中に金英哲は韓国に対する2件の軍事作戦を指示したと言われている。2010年3月に韓国海軍の哨戒艦「天安」が沈没して兵士46人が死亡した魚雷攻撃と、同年11月の延坪島(ヨンピョンド)への砲撃で4人が死亡し19人が負傷した事件だ。


14年のソニー・ピクチャーズへのサイバー攻撃も金英哲が直接指示したと言われている。このサイバー攻撃は、同社が金正恩の暗殺を描いたコメディ映画『ザ・インタビュー』の全米公開直前に実行された。


最近の金英哲は、北朝鮮の外交活動の中心になっている。2月に開催された平昌冬季五輪では、北朝鮮代表団の一員として韓国を訪問し、閉会式に出席してイヴァンカ・トランプの近くで無表情で立っていた。一方のイヴァンカも金英哲に視線を向けることはなかった。


金英哲がポンペオと会談するのはこれが3回目となる。ポンペオは今年、2回秘密裏に北朝鮮を訪問し、身柄を拘束されていたアメリカ市民3人の解放を実現し、6月12日のシンガポールでの米朝首脳会談の開催に向けて準備を進めている。


ドナルド・トランプ米大統領は先週24日、北朝鮮側の「激しい怒りとあからさまな敵意」を理由に、突然会談のキャンセルを発表した。しかしその後、態度を軟化させ、会談が開催されるかもしれないと発言している。


ホワイトハウスのジョー・ハギン大統領次席補佐官が率いる「先遣隊」チームは現在、シンガポールで米朝首脳会談の開催準備を進めている。一方、外交・安全保障担当の米政府高官は北朝鮮政府幹部と南北朝鮮を隔てる軍事境界線で協議を続け、会談の内容について議論している。


From Foreign Policy Magazine


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ロビー・グレイマー


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