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ファスティング(プチ断食)は本当に健康にいい?

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2018年06月05日 15:41  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<ハードル低めの「断食風ダイエット」、ファイスティングの健康効果に専門家も注目しているが、拒食症や過食症のリスクが>


食べたい物を食べながら、健康な体とスリムな体形、長寿を手に入れたい――。そんな願いをかなえてくれそうなのが「インターミッテント・ファスティング(断続的断食)」。確かに魅力的だけど、ちょっと信じられないって? そう思うのも無理はないが、これが最もヘルシーな食事法である可能性を示唆する証拠は増えている。


インターミッテント・ファスティングは食事の時間を限定する食事法の総称だ。例えば一般的な「5:2ダイエット」はカロリー摂取量を週2日だけ500キロカロリーに制限し、残り5日間は推奨量に戻す。「16:8ダイエット」は1日の食事を8時間の枠内に制限。「日替わり断食」は普通の食事と断食を1日おきに繰り返す。


こうしたプチ断食は減量のほか、心臓病や癌のリスク低下、寿命の大幅な延長など健康面で多くの効果が確認されてきた。アラバマ大学バーミングハム校の研究者らは最新の研究で、糖尿病予備軍の男性8人を対象に1日の食事を早い時間に済ませる「eTRF(early time-restricted feeding)」の効果を検証した。


最初の5週間は食事できる時間枠を1日6時間とし、最後の食事は午後3時までに終了。さらに2週間のリセット期間を挟んで、食事できる時間枠を1日12時間に拡大して5週間、計4カ月にわたって実験を行った。こうした臨床実験では珍しく、必要に応じてスカイプも利用し、毎回食事の様子を観察した。


意志の強さが試される


その結果、eTRFは糖代謝率を向上させ、インスリン感受性(インスリンの働きやすさ)も高めるらしいことが分かった。血圧と酸化ストレスも低下した。いずれも体重は落とさずに、だ。


今回の実験は小規模だが、最近提唱されたeTRFを人間で検証した初のケースであり、また非常に厳密で管理された実験手法も栄養学の研究としては異例だと、ロンドン大学ユニバーシティーカレッジ(UCL)健康加齢研究所のジェームズ・キャターソン(今回の実験には関与せず)は指摘する。


これまでの研究でも、断続的な断食の効用は多くの生物で認められていると、キャターソンは言う。「バクテリア、イースト菌、線虫、マウスなどで断続的断食による健康・長寿効果が認められる」


WHO(世界保健機関)が肥満を21世紀最大の公衆衛生上の課題の1つと位置付ける時代だけに、研究者や臨床医は興奮気味だ。「こうした方法なら、食べられない時間は1回連続24時間までなので、それほど口寂しさを感じずに済む」と、英栄養士会のリニア・パテルは言う。「この種の食事パターンなら、カロリーの低い食事ばかりで代謝が落ちるのを予防する効果も期待できる」


「FMD(fasting-mimicking diet)」と称する「断食風ダイエット」では意志の強さが試される。5日間のうち初日は1日1100キロカロリー未満、2〜5日目は500キロカロリー前後に制限するもので、1年間に2〜3回実践するだけで断続的断食の効果が期待できることが、南カリフォルニア大学の研究で分かっている。


しかし、専門家らは慎重だ。「『結論を下すのは、生活習慣の違いも考慮に入れた、より厳密で大規模な研究が行われてからにすべき』というのがコンセンサスになっているようだ」と、キャターソンは言う。現状では断続的断食は、健康を害するほど太っている人に特にメリットのある食事制限の1つにすぎないという。


長期的な効果は未確認


例えばアメリカ心臓病協会は17年1月30日付の声明で、断続的断食は1日に少しずつ何度も食事をするのと同じく短期的には心臓にいいという研究結果があることを認めている。しかし、長期的な効果については研究の余地があるとクギを刺した。


「早い時間にたくさん食べて夜は控えめにするほうが健康にいいというのは理にかなっているが、研究はまだ行われていない」と、声明の代表著者は指摘する。実験の参加者が食事内容を常に正直に報告しないと信頼できる証拠が得られない点も問題だという。


断続的断食が健康にいいと証明されたとしても、実践するのは簡単ではない。永遠に続くかのような断食に比べればましだろうが、「ごちそうの日」だからといって体に悪い飽和脂肪酸や糖分たっぷりの食事を好きなだけ食べていいわけではない。


「ジャンクフードを食べたり大食いしたりすれば、断食のメリットはない」と、パテルは警告する。不健康な食生活が長く続けば、ビタミンやミネラルのバランスが崩れかねない。


「断食」や「ごちそう」という言葉自体も問題だと、キャターソンは言う。食べ物を勝手な判断で「いい食品」と「悪い食品」に二分することで、拒食症や過食症につながる恐れがあるからだ。


野菜や果物、全粒穀物、豆類、低脂肪の乳製品、タンパク質の多い食品(鶏肉、魚、脂肪の少ない赤身肉、卵など)、食用脂肪(オリーブオイル、アボカド、ナッツ類など)といった食品を中心に食べるのが一番だと、パテルは言う。


長期的な健康管理のカギは、自分の体と自分のライフスタイルに合った食習慣を見つけることだ。言うまでもないが、新しい食習慣を取り入れる場合は医師に相談すること。糖尿病や消化不良に悩んでいる人や摂食障害の経験者はなおさらだ。


結局のところ、野菜を食べてジャンクフードは避けるのが一番というわけだ。




[2018.6. 5号掲載]


カシュミラ・ガンダー


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