盲目のダックスと相棒のピットブル、世間に注目されたドタバタ引っ越し劇は遂にピリオド

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2018年06月13日 17:22  ニューズウィーク日本版

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ニューズウィーク日本版

<小さな老犬とたくましい犬の「でこぼこコンビ」が味わった、人間のエゴのしわ寄せ...>


2018年の上半期、話題になった犬のコンビをご存知だろうか。


OJという盲目のダックスフントとその相棒のピットブルのブルードーザー(愛称:ドーザー)。体の大きさがかなり違う「でこぼこコンビ」が注目されたのは、およそ半年前のこと。当時の飼い主が、住む家を失い面倒を見られなくなったため、2匹は家なき子に。突如、新居探しを余儀なくされた。ピープル誌や米CBSが伝えた。


盲目のOJの目となるドーザー


飼い主に手放された2匹は、バージニア州のリッチモンド動物愛護センター(RACC)に託された。「でこぼこコンビ」はこのときすでに親友同士で、かたときもお互いの側を離れようとしなかった。


#TEAM4THEBEEZ PLEASE EMERGENCY.... A BONDED PAIR ...BLIND DASHOUND NAMED OJ AND HIS BEST FRIEND BLUE DOZER WERE RECENTLY ADOPTED I THINK WE ALL REMEMBER THIS HEARTWARMING STORY ...BUT ..BLIND O.J. FOUND WANDERING ALONE ..WHERE IS BLUE DOZERS ...https://t.co/mZxIEO6tXd— Elle Robins (@4THEBEEZ2) 2018年4月25日


OJ(右)とドーザー(左)


盲目のOJは12歳になる老犬。独り歩きすれば、そこら中に頭から突っ込んでしまう。そんなOJを守るためにドーザーが彼のガイド役を務めていた。「彼らは寝る時も食べる時も、散歩する時も... つまり、いつも一緒」とRACCのディレクターであるクリスティー・チップス・ピータースは言う。


だから、当時の飼い主は、何があっても2匹は一緒にいなければならないと強く願っていた。RACCに託したときには、絶対に引き離さないよう懇願したという。


目の見えない老犬は邪魔。OJだけ捨てられる


RACCは、OJとドーザーをペアで引き取ってくれることを条件に、新たな飼い主の募集を開始。「2匹の姿をフェイスブックに投稿したところ、あまりの可愛さにたくさんの反響がありました」とピータース。事実、彼らの写真を見た人から問い合わせが相次ぎ、条件に合う新しい飼い主に迎えられた。


しかし数日後、事件は起こる。NBCによると、盲目のOJがひとりぼっち田舎道でさまよっているところを保護された。現場は新居から100マイル(約160キロメートル)も離れていた。


2匹を引き取った飼い主は、故意にOJを迷い犬にしたわけではないと弁解したが、信じ難かった。結局、この飼い主が欲しかったのはドーザーだけで、目の見えない老犬は邪魔だったのだ。


再び保護犬になった2匹の家探しは遂に...


さまようOJを保護した団体から、この知らせを受けたピータースは悲しみに打ちひしがれた。OJをRACCに連れ帰り、心無い飼い主にドーザーも返すように説得した。その甲斐あって、2匹は再び一緒になったが、保護施設での生活に戻っただけ。新居探しは再スタートとなった。


保護犬に戻ったOJとドーザーだが、程なくして、この風変わりなコンビに興味を示す家族が現れた。一家はリッチモンド在住で、2匹を一緒に迎え入れたいと申し出た。そして6月2日、新しい家族の待つリッチモンドに引っ越した2匹はついに「家」を見つけた。


2匹の新居探しに奔走したRACCは「この子たちは、お互いへの愛情そして逆境にさえ適応する力を強くした」とフェイスブックに投稿している。


RACCは今回の件を受け、住処を必要としている多くの動物たちを助けるための基金を設立した。様々な状況からペットに十分な生活をさせてあげられない飼い主たちを対象にしたこの基金。OJとドーザーの最初の飼い主のように経済的な事情を抱えた人が、ペットを手放すことなく生活して行けるようサポートする予定だ。


ちなみに、OJとドーザーの様子はいつでも誰でも見られる。新しい飼い主はインスタグラムに専用のアカウント @ojanddozer を作り、新たな生活を送る2匹の姿を伝えている。


Yay walking to the park! OJ & Dozerさん(@ojanddozer)がシェアした投稿 - 2018年 6月月1日午後5時17分PDT


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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


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