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<成績も課外活動も優秀なのに「人格点」が他の人種より低いので不合格?──ハーバードはこんな手でアジア系学生の数を減らしている疑いがある>
ハーバード大学はその学術水準の高さもあって、教育の世界では世界最高ブランドと言っていい存在だ。進歩的な理想を掲げ、マイノリティの学生の受け入れに積極的なことでも知られている。
ただし、同じマイノリティでもアジア系となると話は別らしい。
先ごろハーバードは、アジア系の学生たちに人種差別をしたとして訴訟を起こされた。それも差別の理由は、アジア系が優秀過ぎたから
こんな結果を生み出すのだから、昨今の進歩主義とはたいしたものだ。
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訴訟を起こしたのはアジア系アメリカ人の学生のグループだ。彼らは人種ゆえに大学に差別されたと主張しており、それを証明する数値データもあるという。
学生側の申し立てによれば「アジア系アメリカ人の学生の合格可能性が25%だったとしたら、(同じ成績の)白人であれば35%、ヒスパニックなら75%、アフリカ系なら95%だった」という。
ニューヨーク・タイムズが報じたところでは、訴訟ではハーバードによる13年の学内調査の結果も取り上げられた。当時の全学生に占めるアジア系アメリカ人の比率は実際には19%だったが、もし学業成績のみで合否判定をしていれば43%に上がった可能性があるという。
同じことをアフリカ系にすれば「犯罪」だ
それにしても、なぜそんなに大きな差が生じるのだろう。学業以外の要素も合否判定の材料になるが、アジア系はそのあたりでいい点が取れないのだろうか。いや、実は学業以外の課外活動や面接でも、アジア系はいい成績を取っている。
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一方、16万人近い学生の記録を分析した研究では、アジア系アメリカ人の入学希望者は「前向きな性格」「好かれやすさ」「勇気」「親切」「広く尊敬を集めている」などの項目でことごとく他の人種の学生より評価が低かった。
そんなわけがあるものか。
もしハーバードが組織的に、合格に値するアフリカ系アメリカ人の学生をこんないい加減な根拠で締め出していたら、捜査機関が黙っていないだろう。
ハーバード側はアジア系アメリカ人の学生への差別的扱いを否定している。だが一方で、合否判定の内情を明らかにしようとはしない。これは一種の企業秘密であり、それを公にしたら他の名門大学との人材獲得競争で不利になるというわけだ。
だが合否判定プロセスはコカコーラのレシピとは違う。また、ハーバードが政府から5億ドルもの補助金を受け取っていることを考えても、人種差別の批判から逃れるためにそんな言い訳を使うことなど許されるはずがない。
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理性がある人なら誰だって疑問に思うはずだ。ハーバードはアジア系学生の何を不満に思っているのかと。
公平を期すために言っておくと、こうしたことをやっているのはハーバードだけではない。全米各地の難関と言われる大学や高校が同様の差別を行っている。
アメリカの全人口の5.6%に過ぎないアジア系が「マイノリティ」であることは言をまたない。多くは肌の色が濃いし、顔立ちも違えば話す言葉も違う。貧しくともしっかりとした価値観と家族、そして高い労働倫理を携えてこの国にやってきた人々だ。
アジア系アメリカ人は、アメリカン・ドリームが健在であることを示すいい証拠だ。彼らの成功は、アメリカが白人と見た目や言葉が違う人々の社会的地位の向上を阻もうとする頑迷な輩や人種差別主義者の国ではないことの証拠でもある。
母のルーツを否定された女子学生
果たしてハーバードは人種差別という罪を犯したのだろうか。数年前にニューヨーク・タイムズに掲載された記事からは、同大学の知らぬ存ぜぬの主張がいかにばかげているかが見て取れる。
記事によれば、メリーランド州ベルツビルの高校3年生だったナターシャ・スコットは、大学への願書 を出すに際して1つ悩みを抱えていた。そこで彼女は、進学情報サイトの掲示板 にこんな投稿をしたという。
「自分の人種について考えなければならないことに気がつきました。こんなことは言いたくないけれど、黒人の欄に印を付ければ合格の可能性は上がるかも知れないけれど、アジア系に印を付ければ下がってしまうかも知れない」。ナターシャの母はアジア系で父は黒人だったのだ。
アフリカ系に印を付けるようにと母からも言われたとナターシャは言う。
「そうしたいのは山々だけれど、道義的に正しいことなんだろうかと悩んでしまう」と彼女は書いた。
何人かからアドバイスが寄せられたが、アフリカ系に印を付けろという人はいても、アジア系だけに印をつけろと言った人は誰もいなかった。
ナターシャはアドバイスに従ったが、内心忸怩たる思いもあったようだ。
「黒人にだけ印を付けたことに罪悪感を少し感じているのは事実だ。なぜなら私は、合格のために印象をよくしようと、自分自身の一部をわざと否定したのだから」と彼女は語ったという。
アメリカ人を民族や人種のカテゴリーで分断してもこんな悲劇が生まれるだけだ。ナターシャは自分の仲間を否定させられただけではない。自分自身をも否定させられたのだ。
ハーバードなどの大学は、アジア系学生への差別などないと主張するかも知れない。だがナターシャとその母、そして掲示板にいた学生たちは真実を知っている。
象牙の塔のエリートたちが分かっていないこと、それはアメリカ人のほとんどがナターシャと同じであることだ。私たちの大半はまさに「人種のるつぼ」そのものなのだ。
私はレバノン人とイタリア人とドイツ人の血を引いているし、妻はスカンジナビア半島の出身者とアイルランド人、それにアメリカ先住民の血を引いている。うちの娘が大学を受ける時には、いったいどこに印を付ければいいのだろう?いいと言うのか。
人種や民族を1つだけ選ばせるなどばかげている。娘が特定の人種を選択して何か得をするとしたら、ハーバードを初めとするエリート教育機関の中の人たちには明らかな偏見があることになる。
裁判所がはっきりと、そんなことを続けている大学は「頑迷」以外の何ものでもないと指摘してくれることを願ってやまない。
(翻訳:村井裕美)
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リー・ハビブ(セーラム・メディア・グループ副社長、ラジオ司会者)
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