果物ナイフを所持して「銃刀法違反」で有罪に 弁護人は「正当な理由に該当する」と反論

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2018年06月26日 08:21  弁護士ドットコム

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ナイフや包丁を持ち歩くだけで、銃刀法違反で逮捕されることがあるーー。法律小ネタとしては定番だが、「正当な目的があれば、そんなことにはなるまい」と思っている人も多いはずだ。


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しかし油断は禁物だ。5月29日、岡山・倉敷簡易裁判所が、車の助手席に果物ナイフを入れたかばんを置いていた男性に銃刀法違反で有罪判決を言い渡した。一体、何があったのか。男性の代理人である板垣和彦弁護士に聞いた。


●夕食を「果物ナイフで刻んで食べる」ために携行

「この事案は、職務質問により発覚し、略式起訴、罰金10万円の略式命令、正式裁判申立、正式裁判(否認)、罰金10万円の判決宣告(簡裁)という経緯をたどりました。


本人(編集部注・被告人)は高齢男性ですが、家庭の事情により昼間の仕事を終えた後も別の仕事をする毎日でした。夕食は、通勤用の車の中で、食材を果物ナイフで刻んで食べることが多かったのです。本人は、他人には容易に理解し難い厳しい経済状況や家庭の事情等を明かしたくないため、事案の概略を認めました。本人は、不起訴になると思っていました」


●「正当な理由」に該当する可能性が十分にある事案

裁判では、どのような主張をしたのでしょうか。


「私は公判段階から関与し、聴取した事情をもとに果物ナイフの携帯は『正当な理由による場合』に該当すると主張しました。勤務状況、家庭事情から上記の生活実態を明らかにし、果物ナイフを携帯する理由と必要があった事実と、果物ナイフを歯ブラシ等日用品とともに手提げバッグ内に収納していた事実を中心に立証しました」


岡山・倉敷簡易裁判所は5月29日、男性に銃刀法違反で有罪判決を言い渡しました。


「本件は、軽犯罪法1条2号にいう『正当な理由』の意義について判示した最高裁の無罪判決(催涙スプレー事件)の判断基準に照らし、正当な理由による場合に該当する可能性が十分にある事案だと考えます。本人の意向を確認し、控訴しました」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
板垣 和彦(いたがき・かずひこ)弁護士
1954年生まれ、1981年中央大学法学部卒、裁判所書記官、検事(東京、名古屋、大阪、神戸、岡山、広島、山口、松山本庁、管内勤務)等を経て、2016年弁護士登録。
事務所名:岡山中央法律事務所
事務所URL:http://www.okachulaw.com/


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  • 電車バスで包丁男が出て来たらどうする。軍備充実で抑止力優先の国柄なんだから果物ナイフくらい許せよ。私はタクティカルペンを持って頭かち割ろうと、出来るかな?
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