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<冥王星の外側にあると言われる第9惑星――その存在の可能性をさらに裏付ける外縁天体の奇妙な軌道が報告された>
かつて太陽系の第9惑星といえば冥王星だった。その冥王星が準惑星に「格下げ」されてから約10年。カリフォルニア工科大学の研究者たちは2年前、この冥王星の外側に地球より大きい謎の惑星があることを示唆する証拠を発見した。
太陽系に存在するともいわれる新たな第9惑星が直接観測されたというわけではない。少数の太陽系外縁天体(TNO=海王星の軌道の外側を回る天体の総称)の一群が奇妙な軌道を描いていたことから、その軌道に影響を及ぼしている惑星サイズの物体が存在する可能性があるという理論だった。
そして今回、異常な軌道を描くもう1つの天体(「2015BP519」と呼ばれる)を発見したという報告が、論文投稿・閲覧サイト「アーカイブ」に発表された。研究チームは、この天体が第9惑星実在説の裏付けになると主張している。
論文によれば研究チームは、宇宙の膨張を加速させている謎の力を解明する国際研究「ダークエネルギー探査(DES)」のデータベースを基に、BP519の発見に至った。
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「BP519は小さなゴツゴツした物体」だと、ミシガン大学の大学院生で論文の筆頭筆者であるジュリエット・ベッカーは言う。「楕円軌道を描き、太陽系の惑星と比べると軌道が傾斜している」
研究チームによれば、コンピューターによる当初のシミュレーションでは、どうしてもBP519の軌道の傾斜を説明付けられなかった。だがそこへ、16年にカリフォルニア工科大の研究者たちが予想したとおりの特性を持つ第9惑星の存在を仮定したところ、軌道の矛盾が解消されたという。
「第9惑星はTNOをかなり傾斜させると予想され、BP519はその構図にぴったり当てはまる」と、ベッカーは言う。
しかし軌道の傾斜については、別のシナリオでも説明が付くと言う研究者もいる。
クイーンズ大学ベルファスト(北アイルランド)の天文学者ミシェル・バニスターは、初期の太陽系に1万個の準惑星が存在したことを考慮に入れれば、その引力で十分に軌道の傾斜は起こり得ると指摘する。同大学の研究者ペドロ・ラセルダは、太陽系と別の天体が過去にすれ違っていれば、遠方のTNOに何らかの乱れが生じる可能性があるとも指摘している。
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第9惑星の存在をめぐる研究が進むことで、宇宙の謎に新たな光が当てられるのだろうか。
[2018.7. 3号掲載]
アリストス・ジョージャウ
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